I Love NY

【I Love NY】? 屮屮薀奪?・ポップ・ミュージック」の復活はなるか?

(ここではSTEPのNYスタッフから届く、現地の最新音楽情報の一部をご紹介しています!)

「ポップ」という言葉は80年代以降「チープさ」や「お子様向け」といったイメージへと転換していったと言えます。50・60年代は真のポップスが存在し、人気を博していました。70年代の実験的精神の中にも、80年代のデジタル化と商業主義の中にも良質のポップスは溢れていました。

しかし、ヒップホップとクラブ・ミュージックの台頭によってポップの意味が塗り替えられていったことは否定できません。もちろん現在のヒップホップ・シーンの中でも、圧倒的な人気を誇っているのはポップなエッセンスを持ったものが大半です。
しかし、ここでいうポップさとは、単に覚えやすいリフの繰り返しにしか過ぎず、たった一つのキャッチーなリフさえできれば金になるというのが今のヒップホップを中心とした音楽ビジネスの現状とも言えます。

かつて大人気を博したR&Bグループ、トニ・トニ・トニのメンバーの一人であったラファエル・サディークは、どちらかというとネオ・ソウルのムーブメントの中で評価されることが多かったと言えます。

そんな彼が9月に発表する新作アルバムは、早くも「ブラック・ポップ」の復活か?と騒がれています。常にクラシックなR&Bへのリスペクトを忘れず、ファンキーでポップなエッセンスを自分の音楽の核としてきたラファエルの今後の展開は、商業主義にまみれた安易なヒップホップで閉塞した今のブラック・ミュージックの現状を打破できるか、大きな注目と期待を集めていると言えるでしょう。

【I Love NY】 ??R&Bドラミングのシークレットとは?

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これまで数多くのレコーディングを手掛けてきて、私がいつも日米の差を強く感じていることの一つに、ドラマーのドラミングとドラム・サウンドがあります。
ジャズ・ドラマーに関しては本当に素晴らしい日本人ドラマーが増えてきました。その繊細さやリアクションの良さに、多くの黒人ジャズメン達がNY在住の日本人ドラマーを起用しています。
しかし、R&Bやファンク、ソウル系となると、これはもう日本人にはどうしても手の届かない世界になってしまいます。

特に最近のR&B系ドラムは皆パワー・ヒッターです。明快でタイトでクリアで、ズシリとした重みとパンチのあるドラム・サウンドが基本になっています。最近でもアリシア・キーズ、レイラ・ハサウェイ、チャカ・カーンなどR&B系のショーを見ましたが、ドラマーは皆無名で若いながらも実にビビッドで体に痛いくらいのシャープなサウンドを聴かせていました。

PAやミキシングの問題は別として、多くの人は、それはパワーの違いであるとか、
ノリの違いであると言います。もちろんそれもあるでしょう。しかしいつも間近でそれを聴き続け、見続けている私には、シークレットは他にもあるように感じます。

その一つはストロークのスピードとリバウンド(アップ・ストローク)です。彼等のほとんどは決して力を込めては叩きません。もっと正確に言うならばドラムを叩きつけたりるようにはプレイしません。問題はスティックを振り下ろす強さだけではなく、振り下ろすスピードと振り下ろした後に振り上げるスピードの素早さでもあるのです。これによって音の粒が圧倒的に異なり、ハリのあるパワフルなサウンドが生み出されるとも言えます。
果たして日本人ドラマーがR&B系のドラマーに起用される日は来るでしょうか。

【I Love NY】「アメリカの音楽ビジネスは死んだか?」

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ネガティヴな面をフォーカスすれば、この言葉は間違いのない事実であると言えます。
90年代後半に、アメリカでは音楽史上初めてレコード/CDのセールスが前年比を下回り、
その後も下降線が上向くことはありません。
大手レコード会社は次々と予算と人員の削減を行って合併を繰り返し、
有能な現場のスタッフ達は次々とインディペンデントな活動を始めていき、残ったのは
人も音楽もすぐに賞味期限が訪れる限定期間販売商品としか考えず、音楽の中身は二の次で企業の利益のみを考えるビジネスマンばかりとなっています。

CDが何故売れないのか……「それはインターネットによるデータ配信のせいである」
ということが、まことしやかに言われてきました。
しかし、アメリカの音楽ビジネスの問題はそういった単にメディアの面だけではありません。問題はハードよりもソフトにある。
つまり、アーティストとその周囲の人間達の意識や認識、能力や情熱の欠如にあるということを多くの人達が気付き問題にし始めています。

「マライアこけたら皆こけた」と言われるほど、大物アーティストへの依存過多は間違いなく、新しい才能の発掘・育成、言い換えれば投資するということを怠ってきたレコード会社の無能・怠慢ぶりを表しているとも言えるでしょう。

昔のレコード会社のようにカリスマ的な独裁者がいるのではなく、誰が仕切っているのか、誰に決裁権があるのかも分からず、膨れあがったシステム(実はシステム呼べるようなオーガナイズされたものでは全くないのですが)に周囲やアーティスト本人までが動かされ、振り回されているような事態と言えます。

ポップスやヒップホップ以外のジャズ、クラシックなどの部門は次々と縮小され、ロックも一部のスター達を除いてクラシック・ロックと呼ばれる昔のロックの再発・再結成ばかりが注目され、実際にかなりの収益にもなっています。これはCD産業だけでなく興業においても顕著で、大ホールを埋め尽くすのは、中高年を対象とした懐メロものや再結成もの(例えばクリームの再結成であるとか、エリック・クラプトン&スティーヴ・ウィンウッドのブラインド・フェイス再結成であるとか)ばかりお金を持っている中高年層を対象にしたビジネスが音楽業界の中でも賑わっていると言えるわけです。

ジャンルを問わず、以前はアメリカ国内ツアーというのはミュージシャン達にとって重要な収入源でしたが、今やアメリカではロックでもジャズでも国内ツアーを行うというのは大変困難な状況にあります。そのため、アメリカのミュージシャン達は皆、ヨーロッパや日本へと演奏やツアーの拠点を移していきました。

もう一つの大きな問題は、アメリカは自国のアーティスト達を大切にしていないと自国のアーティスト達の不満が方々で噴出していることです。

プロモーターやホール側にとってはお金が入れば良いわけですから、誰が公演を行って誰が見に来ようと関係ありませんし、プロモーターやホールの無能・怠慢ぶりが顕著に現れています。もちろん彼等は興業を行う以上、客を集めて収入を得なければなりませんが、発想が「どうしたら客を集められるか」ではなく「どうしたら労せずして客を集められるか」
となってしまっているわけです。

コンサート・チケットの価格の高騰ももう一つ大きな問題です。
日米間では金銭価格が違うので安易な比較はできませんし、日本とは比較にならないほど貧富の差が激しいアメリカですので一言で言い切ることは決してできませんが、したがって前述のように、中高年層狙いのコンサートがリスクも少なく収益も見込めるということになるわけです。

これらは現在のアメリカの音楽ビジネスに見られる問題の一部でしかなく、まだまだ様々な問題が存在しています。
今回は敢えてネガティヴな面ばかりを強調してきましたが、それを打破しようという動きは方々で既に起こっています。
今後はそういったポジティヴな動きに関してもご紹介していきたいと思います。

【I LOVE NY】「JAPAN」という音楽ビジネスの可能性

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先日6月1日にJapan DayというイベントがNYのセントラル・パークで行われました。
今年で2回目となるこのイベントは、NY日本総領事館が主催し、在米の日本企業がスポンサーとなり「文化を通じた日米の相互理解の促進」をメインの趣旨としています。

NYにはJapan Societyという日本の芸術・芸能文化の紹介・振興を目的とした民間団体もありますが、アート指向の強いJapan Societyに対して、このJapan Dayはもっと日常レベルの日本の「今」を伝えることに主眼を置いています。真夏日のような暑さの中、2万人近い人が集まり、実に賑やかなイベントとなりました。

ここ数年、アメリカにおける日本そして日本文化への関心は急速に高まっています。一昔前までは「日本」と言えば電化製品か車が代名詞―しかし、驚くべき事に当時は「SONYやNISSANはアメリカの企業だ」と思っているアメリカ人が数多くいたこともあり、それらの商品から「日本」という顔がはっきりと見えることはありませんでした。

日本文化への関心に最も大きく貢献したのは、やはり食文化。当初は「スシ」しか知らないアメリカ人に、「テリヤキ」「トーフ」「ウドン」などが次々と浸透していき、今では蕎麦屋や焼鳥屋、居酒屋に足を運ぶアメリカ人が急増!!

今やマンハッタンにおいては数ブロック歩けば日本食レストランが見つかる、というほどの数になりましたが食文化に続いて、しかも食文化以上の影響を与えたのが、ご存じ「アニメ」。「アニメ」も今や立派な英語となっており、アメリカ製アニメであるカートゥーン(Cartoon)とは別物として理解されています。

ご存じの通り「リング」「呪怨」といったホラー映画のハリウッド版が大ヒット、日本映画と言えば「ホラー」という印象を根付かせました。また一般的な関心とは言えませんが、近代美術博物館(MOMA)などの建築においても日本人デザイナーが次々と起用され、この分野においても「Japan」は大きく評価されています。

こうした中で、「Japanese Music」は常に後れを取ってきたと言えるでしょう。
それはやはり、英語圏においては日本語という「言葉」の壁が大きかったということ、
そして日本のポピュラー音楽は常に一時の「流行」の連続で、「文化」としてとらえられるような発展・継承・成熟は見られなかった、ということもあると言えます(アメリカでは音楽は常に「文化」であり続けています)。

ところがそういった状況や認識にも変化が起こり始めました。その例が「漢字」です。若者達は服のデザインやタトゥー(刺青)に漢字を取り入れ始めました。ほとんどの場合、彼等は漢字の意味を理解していません。それが見た目に「クールである」ということで漢字をロゴのように捉えているのです。そして音楽にもこれと似たような現象が起こりつつあります。

言うまでもなく、日本語の歌詞の意味がわかるアメリカ人はごく僅かしかいません。特に若者達にとって日本語の歌詞の意味は大した問題ではないようです。彼等は日本語をひとつの「サウンド」として感じ、その「奇妙な響き」に新鮮さを感じているようです。
今NYで一番観客を集めることのできる日本のバンドの一つはパフィー(Puffy AmiYumi)であると思いますが(これは、彼女達が前述したアメリカのCartoonの主題歌を歌い、彼女達自身が番組となった影響が絶大です)、彼女達の歌は基本的に日本語であり、MCでも片言の英語の間に日本語が混ざります。それでも若いアメリカ人のファン達は彼女達の音楽や雰囲気をそのままに感じ取り、更に勝手な印象や解釈を加えて楽しんでいるわけです。

この「勝手な勘違い」こそが、今の若いアメリカ人達が日本文化に熱中する原動力の一つともなり、そして今後日本の音楽がアメリカで更に関心を高め、浸透していく上でも大きなカギとなるのではないか、と数多くのアメリカのメディアや識者は捉えています。

こうした発想やムーブメントは、これまでのアメリカにおける日本文化への関心・浸透には見られなかった新しいものとも言えます。音楽業界を始め、様々な米エンターテインメント業界では、「これから5年以内に更なる日本ブームが起きる」と予測する人達が大勢います。
現に「日本」を題材としたイベントは増える一方ですし、音楽やミュージカルなどの分野においても多数のプロジェクトが進行中のようです。そこには、アニメ、フイルム、コンピュータ、ゲーム、ロボットなどといった既に市民権を得ているメディアが複合的に絡み、メディアとしても一層複雑化・異形化していくであろうと予測されます。

アメリカにおいて、「Japan」という音楽ビジネスの可能性が今後益々高まっていくことは間違いありません。しかし、それらがどのような「勝手な勘違い」で「あり得ないもの」や「壊れたもの」として展開・浸透していくのかは、受け手の捉え方だけでなく、送り手サイドがどのように“仕掛けていくか”という責任にもかかっていると言えるでしょう。