【I love NY】??国歌斉唱というエンターテインメント

(ここではSTEPのNYスタッフから届く、現地の最新音楽情報の一部をご紹介しています!)

今、ハロウィーン間近であると共に大リーグのワールド・シリーズ真っ直中です。
メッツやヤンキースが敗退してワールド・シリーズには全く関心が無くなってしまった、
ほとんどのニューヨーカー達と違って、私は今年のワールド・シリーズは結構楽しんで観ていました。なにしろ選手はもちろんファンの気合いが違います。
レイズとフィリーズという史上最低弱小チーム同士のワールド・シリーズ対決なんて大リーグ史上、いやこの先100年経ってもあり得ないかもしれません!
選手やファン達も「これが一生に一度のチャンス!」と思ってるのか(笑)、お祭り騒ぎとなって楽しんでいる様は観ている方まで楽しくなります。

アメリカのスポーツは基本的にシーズン・スポーツで、野球、バスケット、フットボール、アイスホッケーなどが途切れることなくうまく繋がって繰り広げられていきますが、
いかなるスポーツの試合においても欠かせないのが国歌斉唱です。

中でもプロ・スポーツの試合における国歌斉唱では豪華なアーティスト達が次々と登場し、
話題となり、観客を楽しませてくれます。

アメリカは基本的に愛国心を最高の美徳の一つとする国ですし、国歌の捉え方も日本とは全く違います。誰もが国歌斉唱の時は起立して帽子を取り、星条旗の方を向いて静かに聞き入る様は日本人には異様に見えるかもしれませんが、人種も宗教も全てがバラバラなアメリカにおいては、星条旗と国歌は結集できる一つのシンボルでもあるのだと思います。
アメリカ国歌の歌詞はあまりに前時代的で曲も特に優れているとは思えませんが、
国歌斉唱が終わるとコンサートのごとくYEAH!!と盛り上がっている姿には感覚や国民性の違いを感じてしまいます。

国歌斉唱にはこれまでに数多くの名演がありましたが、私の知る限りで忘れられないパフォーマンスは、なんと言っても83年のNBAオールスター・ゲームでのマーヴィン・ゲイです。
「What’s Going On」を思わせるゆったりしたミディアム・テンポでThe Star-Spangled Bannerを歌い上げ、これには観客も大歓声と絶叫の嵐。
最後はみんなで手拍子で国歌斉唱という、あり得ないほどピースフルなパフォーマンスとなりまた。

「What’s Going On」で”war is not the answer”と歌って当時のアメリカから批判もされた
マーヴィンが国歌を歌ったこと自体にも大きな意味合いがありました。
私は彼の国歌を聴いて、これがアメリカ国歌のスタンダードになればアメリカはもっと
平和で平等でリベラルな国になるだろうに、と思ってしまったものです。
彼が亡くなって20年後の2004年、同じNBAのオールスター・ゲームで今度は
娘のノナが父マーヴィンの映像に合わせて父娘のデュエットで国歌を歌ったときは
これまた感動的で思わず涙が出そうになりました。
とにかくいろんな国歌が楽しめるのは、アメリカならではと言えるでしょう。

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