【I Love NY】“ポスト・ロック”系バンドが続々とNY来襲!

(ここではSTEPのNYスタッフから届く、現地の最新音楽情報の一部をご紹介しています!)

中高年齢層に押され気味の音楽界ですが、もちろん若い世代にもがんばっている連中はたくさんいます。今月から来月にかけては、2000年代に入ってにわかに注目を集めていったと言える、いわゆるポスト・ロック系と呼ばれるバンドが立て続けにNYにやってきて話題になっています。
一般的にポスト・ロック系はギター中心のインスト系バンドが多いと思いますが、NYそしてアメリカではギター・バンドの人気はやはり根強いものがありますし、ポスト・ロック系の特徴の一つでもあるギターによるカオス的爆音でトランス状態に陥るというのもNY的で、人気のある理由と言えるかもしれません。

まずはフジロックにも出演して以来日本でも人気が高まっていると聞くスコットランドはグラスゴー出身のモグワイが、先月末ブルックリンで3日間ライヴを行いました。
ポスト・ロックの第一人者といわれる彼等のサウンドは、やはり相変わらず圧倒的な存在感とインパクトを誇っていました。
続いて今月NYにやってくるのが、日本のMONOです。マニアックでコアなファン層ではありますが、MONOはアメリカにおいて地道に、そして頻繁に活動を行ってきており、NYでもかなりの人気と評価を得ています。特に二人のギタリストYodaとTakaのプレイには普段辛口の批評ばかりするニューヨーカー達も度肝を抜かれています。
ちなみに、今回の10周年記念ライヴのチケットはソールドアウト状態だそうです。

そして今月末はシカゴ出身のトータスがブルックリンでライブを行います。かつてはシカゴ音響派とも呼ばれていた彼等は、ポスト・ロック世代としてはすでにベテランの領域にありますが、彼等は他のギター中心のポスト・ロック系とは一味も二味も違い、パーカションやキーボード、ビブラフォンなどを取り入れたサウンドはジャズ的であったりしてかなりユニークですし、その辺が別の理由でNYでも人気が高い点かもしれません。
そしてちょっと時間は空きますが、6月末にはテキサスはオースティン出身のエクスプロージョン・イン・ザ・スカイ(以後EITS)がセントラル・パークのサマーステージに登場します。私は4年ほど前に彼らがNYのバワリー・ボール・ルームで3日間の公演を行ったときに初めてライヴ・パフォーマンスを目にしましたが、あのときのまさにエクスプロージョン(爆発)といったようなすさまじい轟音とぶっ飛び具合は忘れられません。
演奏後楽屋を訪ねた時の彼等との会話も興味深く、それ以後私はすっかり彼等のファンにもなってしまいました。今度のNYライヴで彼等の人気・評価がいっそう高まることは間違いないと思います。

さて、ここまで“ポスト・ロック”というメディアがよく使う呼び名を私も使ってきましたが、今回紹介した4つのバンドのいずれも、自分達の音楽を“ポスト・ロック”と呼ばれることを嫌っています。特にEITSなどはポスト・ロックという言葉すらも否定しています。「“ポスト・ロック”なんてロックが終わった後の音楽みたいでおかしな言葉だよね」とEITSのメンバーの一人が笑って言っていたのを思い出します。確かにロックは今も生きているわけですから。そもそもポスト・ロック系(おっと、また使ってしまいました…)のバンドの音楽は大概、キャッチーな歌詞やポップなメロディを排し、ラジオのオンエアやITUNESでの楽曲販売を無視した長尺物が多いとも言えます。
言ってみれば、彼等は今の音楽ビジネス・音楽産業に媚びることのない反逆児たちと
言うこともできると思います。そんなところが、いわゆるポスト・ロックが音楽的に関連性が強いと言われる、サイケやプログレといったかつてのロックの反逆児達に通じるところも感じてしまうのです(最後までジャンル用語のオンパレードになってしまいました…苦笑)。

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