【I Love NY】1.止まらない「グリー」現象 2.遂にミュージカル版「スパイダーマン」がオープン!

(ここではSTEPのNYスタッフから届く、現地の最新音楽情報の一部をご紹介しています!)

1.止まらない「グリー」現象

先月は今アメリカで大人気のテレビ番組「グリー」のお話しをしましたが、その後
も「グリー」人気は止まらず。益々一つのムーヴメント/カルチャーを築いていき、社会現象化していると言えそうです。

まずは、6月からスタートした「グリー・プロジェクト」。チャンネルはFOXではな
く、Oxygenというケーブル・テレビ局ですが、FOXのミュージカル・ドラマ
「グリー」に登場する新キャラクターの座を獲得するためのオーディションの模様を番組にしたリアリティ・ショーです。
現在「グリー」に出演しているのは高校生ではなく、皆大体20歳代の俳優達が中心
と先月ご紹介しましたが、この「グリー・プロジェクト」は「グリー」の新キャラとしての採用を目指していることもあって、もうちょっと若め(大体18〜19歳)です。


もう一つ興味深いのは、現在の「グリー」は「アメリカン・アイドル」などで決勝
まで残るほど圧倒的な歌唱力はあるわけではない、と紹介しましたが、この「グリー・プロジェクト」では、その歌唱力も現役メンバー達よりも優れている人も多く、確実にレベルが上がってきているような感じもします。

それにしても、この国には一体どのくらいの優れた人材がいるのでしょうか。私な
どは、いつもゴスペル・チャーチの素人黒人達の歌唱力に圧倒されながら演奏してますが、以前にご紹介した「アメリカン・アイドル」や「ヴォイス」などといった“スター誕生”番組や、この「グリー」などを観ていると、その底辺の厚さは恐ろしいほどに驚異的です。しかも、みんながそれぞれに個性的で独特(というか、自分のスタイルというものを持っている)なのですから恐れ入ります。

これに先だってメディアで発表されたのは、2010年から行われている「グリー」の
コンサート・ツアーが3D映画となって8月に全米公開されることになりました。テレビ、興業(コンサート)、映画など、様々なメディア総ナメの話題となっているグリーの快進撃はまだまだ続きそうです。

2.遂にミュージカル版「スパイダーマン」がオープン!

先日はトニー賞の授賞式が行われ、ベスト・ミュージカル賞を始め14部門ノミネー
トされた「ザ・ブック・オブ・モルモン」が、なんと部門で受賞するという快挙を達成した。なにしろ「サウス・パーク」のトレイ・パーカーの作品ですから、アメリカでは話題性はダントツ(しかもテーマは“モルモン教”)であったと言えます。
その一方で、先日来ご紹介してきたロングランが期待されるメジャー娯楽作品「シスター・アクト」は一つも受賞できなかったというのは、ちょっとショックでした。
ミュージカル主演女優賞はパティーナ・ミラーが受賞確実と言われたのに、蓋を開けてみたらリバイバル作品「エニシング・ゴーズ」のサットン・フォスターが二度目の受賞。フォスターはキャリア的にも申し分なく、既にブロードウェイ界のスターであると言えますので、仕方ないと言うこともできます。「シスター・アクト」は先日、オバマ大統領もやってきて観劇していきましたが、タイミング的に“オバマ効果”は間に合わなかったようです。

さて、トニー賞後の一番人気&話題と言えるのがミュージカル版「スパイダーマン」です。そもそも、スーパーマンやバットマンと並ぶアメリカを代表するコミック界のヒーローのミュージカル版ですし、それに加えて史上最高の制作費と、USのボノとエッジが音楽を担当するということで、メディアも以前からかなり注目していました。

ところが、昨年11月のプレビュー公演開始以前からトラブル続出で、予算オーバーやキャストの交代劇に始まり、スパイダーマンのスタントマンなど5人がステージ上で大怪我をしたり、予定されていた人気演出家ジュリー・テイモア(「ライオン・キング」で女性としては初のトニー賞最優秀演出賞を受賞)が降板するという事態まで起き、通常は2〜3週間程度行われるプレビュー公演(リハーサル的な試験公演)がなんと7ヶ月近く(正確には16ヶ月間に渡って計183回)というxも行われる結果となってしまいました。
音楽に関しても、ボノとエッジからは音響システムや演奏内容などにNGが出される始末で、“永遠のプレビュー・ショー“などとも皮肉られ、このままオープニングを迎えることはないのでは?と見る人も増えていきました。

それが、16ヶ月の遅れながら遂にオープンとなったのですから、関係者やファンの感激ぶりやメディアの注目度は相当なものと言えるようです。待望のオープニング公演には、マット・デイモン、スパイク・リー、シンディ・クロフォード、リアム・ニーサム、スティーヴ・マーチンといった数多くのセレブ達を始め、なんと降板したはずのジュリー・テイモアまでやってきました。会場に現れたボノとエッジは、「オープニング後も音楽スコアはもちろんのこと、音楽だけでなく台本に関しても手を加えていくよ」とインタビューに答えてましたので、オープニングとはいえ実際にはまだプレビュー状態が続いているといえそうですし、それよりもなによりも、アクロバット的要素の多いショーですから、また事故でも起きてしまったら、公演中止の危険も出てきます。やはりブロードウェイ版スパイダーマンは“永遠のプレビュー・ショー“というよりも、“いつ中断・中止になるかわからないショー”ということで、早い内に観ておかなければ、と言っている人も多いようです(笑)。

さて、このブロードウェイ版スパイダーマン、サントラ盤も発売されて話題になっ
ていますが、一部のメディアでも指摘されていたように、21世紀の“ロック・オペラ”と見なされている点も話題のようです。ロックオペラと言えば、ザ・フーが自ら命名したように彼等の「トミー」が代表作であり(そう言えば現在、ロジャー・ダルトリーの「トミー」がツアー中で、9月にはニューヨークにやってきます。67歳のダルトリーがトミー少年をどう演じるのか…)、その後ブロードウェイでは「ジーザス・クライスト・スーパースター」や「ヘアー」などが有名ですが、最近はほとんど聞かなくなったジャンル・呼び名でした。それが、以前にもご紹介したグリーン・デイの「アメリカン・イディオット」で久々に復活した感があり、それが今回U2が手掛けるロック・オペラというわけですから、こうしたジャンルの動きも今後楽しみになってくるかもしれません。ただ、今回のブロードウェイ版スパイダーマンは、U2ファンとスパイダーマン・ファンの双方から批判的な声も出ていますし(つまり、両者にとって“ミスマッチ”というわけです)、U2として本格的なロック・オペラに取り組んでみて欲しいという期待もあるようです。

なにはともあれ、ブロードウェイもロック界も話題が豊富で元気なのは何よりです。

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