【STEP INFO】春のお彼岸

ニュースでは今年の桜の開花時期が発表され、春が近づいていることを実感します。
毎年この時期に悩まされるのが花粉です。重度の花粉症の私は、この時期だけは某セレブなティッシュを大人買いして必死に花粉に立ち向かっております。

さて、3月20日は「春のお彼岸」ですね。
このお彼岸期間にお墓参りに行く人は多いかと思います。
しかし、お彼岸はお墓参りのためだけの日ではないということをご存知でしょうか?

お彼岸は、自分自身を省みて、「六波羅蜜」という仏教の教えを実践する機会でもあるのです。

「六波羅蜜」とは、
①布施(ふせ):人に施しを与えること
②持戒(じかい):戒律を守り、省みること
③精進(しょうじん):常に努力すること
④忍辱(にんにく):苦しくても耐えること
⑤禅定(ぜんじょう):心を落ち着かせること。安定させた状態で自己反省すること。
⑥智慧(ちえ):正しく判断力をもち、ものごとの真実を見る目をもつこと。
の6つの教えのことをさします。

この6つの徳目、「六波羅蜜」を実践することで私たちは浄土の世界に到達できる人になる、と言われています。

日頃から心がけて実践していくことはなかなか難しいかもしれませんが、
このお彼岸を機会に、ご先祖様へ感謝を伝え、自分自身を省みる、そんな時間を過ごせたらいいなと思います。

それでは、メルマガ3月号スタートです。

(森田)

【MUSIC】Cyndi Seui&ジオラマラジオ

お久しぶりです、メディアコミュニケーション部の大和です。
日の出が早まり、朝の空気が柔らかくなり、
年度末の焦りを感じ始める2月の終わり(執筆時)。
「今年は暖冬ですね」と各所で聞きましたが、
冬のそれとは違う、春の空気を感じ始めている今日この頃です。

ということで、まずは恒例?「詳しくないけどなんだか気になるタイポップス」!

♪Hey You / Cyndi Seui

フィリピン生まれ、タイはバンコクを拠点に活動するプロデューサー兼アーティスト、
シンディ・スイさん。日本のtofubeatsさんのような感じでしょうか?
言葉に形容するなら「This is キャッチー」。
以前少しご紹介したPhum Viphuritさんもですが、
キメキメでありながら、どこかシニカルな空気を帯びている感じが、とても魅力的。
しかもこの曲が、Mark Ronson先生の「Up Town Funk」と同じ2014年!
恐れ入ります。。。

そして3月18日には、日本限定のオールタイムベストアルバム発売!

買います。

続いては日本の気になるユニットを。

♪step / ジオラマラジオ

昨年から、radikoプレミアムをきっかけに空前絶後のラジオブーム到来中の私。
(皆様ぜひとも、STEP メディアコミュニケーション部の制作番組もよろしくお願い致します!)
とあるラジオで聴いて「ステキだな~」とすぐにメモをとった、
ジオラマラジオ という男女2人組です。

東京生まれ、サブスクリプション育ち(プロフィールより)
2017年に始動し、昨年秋に初めての公式作品「img」を発表。
この作品の最後に収録されている「Zombies!」という曲の歌詞が素晴らしくて!

♪zombies / ジオラマラジオ (「img」に収録されているのは再録バージョン)

他の曲も、情景や物語を描いていると思わせておいて、
突然こちらの感情を掬い取っていくような。そしてポップ。
そんな6曲の作品です。
年末に公開された最新曲も良い温度感。

♪絵空模様 / ジオラマラジオ

音楽はもちろん、風貌も気になる2人。
ライブはサポートメンバーを加えた形で行っているそうです。
今後の作品や活動が楽しみでありつつ、早めに観たいなと思っています。

ジオラマラジオ HP https://www.dioramaradio.love/

(大和)

【Shop in Azabu】UDONBUZEN

さて本日紹介するのはUDON BUZENです。

元々近くの別の場所にあったのですが、最近移転してビルの中になりました。

弊社裏口から駅方面に歩いていき、信号を超えた先にある

この「ひかり鶏」の角を曲がって…

こちらのビルになります!

初見だと若干入りにくい雰囲気がありますが、

中はとても明るいので臆さずに入って行きましょう!

因みにこのまま右側へ真っすぐ進むと麻布十番の駅です。駅近です。

それでは商品の紹介を!こちら鈴木イチオシ「鶏天ぶっかけうどん」です。

コレが無茶苦茶美味しいんです。

ダシに絡む鶏天、斜め切りにされたネギ、鰹節のダイレクトさもGoodです!!

他にも色々あるのですが、僕はコレしか食べた事ありません(笑)

 

他のメニューはこんな感じです。

この写真のでっかい天ぷらは、ごぼう天です。

思い返してみれば、ココのお勧めはごぼう天うどんだった気もします。

僕は食べたこと無いですが…

写真の通り、うどん以外のメニューも充実!

うどん店ならではの、だしのきいた天丼も美味しそうです!!

 

そして何と!夜も営業しております!!

こちらのお店の席数は20席程ありますので、

うどんのコース料理でちょっとしたパーティなどいかがでしょうか?

気になった方は是非行ってみてください!!

(鈴木)

 

UDON BUZEN

【住所】東京都港区麻布十番2-16-8 十番コアビル 7階

【営業時間】営業時間11:00~15:0017:00~23:00(L.O.22:30)日曜営業

【定休日】不定休

【予約・お問い合わせ】 ‎03-3455-5650

【After Word】桜梅桃李

 春めいてくるのが待ち遠しいこのごろ。
3月初めはまだまだ寒い日が続きますが、3月後半になってくると
陽の光も明るくなって、様々なお花が咲き始めますね。
タンポポ、菜の花、チューリップ、桜、などなど。
それぞれが、それぞれの色、形、香りで私たちを楽しませてくれます。

「桜梅桃李」(おうばいとうり)
さくら、うめ、もも、すもも、品種としては近いものがありながら
それぞれが独自の特性で健気に咲く姿から、他者と比べなくてもいいじゃないか
自分らしく精いっぱい行こうではないか、という仏法の言葉。

周りを見回せば、弊社スタッフの個性は粒ぞろい。
まさに桜梅桃李でご要望にお応えします!!

皆様の春が明るく素晴らしいものになりますように。

(フクイ)

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
今月もお読みいただきありがとうございます。
次回の配信は4月上旬の予定です。


お問い合わせ、配信停止希望はコチラ≫≫≫

【STEP INFO】鬼は外!福は内!

暦の上では立春ですね~。まだまだ寒い日は続きますが、これから少しづつ春が訪れます!

節分とはもともと、立春、立夏、立秋、立冬それぞれの前日、つまり季節の変わり目ごとに行われていました。日本では、立春が1年のはじまりとしてとくに尊ばれたため、時代が移り変わっていくにつれて、立春前日の節分が残りました。
節分はずっと2月3日というイメージがありますが、立春の日付が毎年変わるため、その年によって変わります。ちなみに今年の節分は2月3日月曜日です。

ところで、わたしは物心ついた子供のときから節分の日に、豆まきを楽しんだ記憶があります。節分ではなぜ豆まきをするのか。これは中国の習俗が伝わったものとされています。穀物である豆には「生命力と魔除けの力」が備わっているといわれています。それと合わせて、「魔目(豆)」を鬼の目に投げて「魔滅」し、一年の無病息災を願うという意味合いが込められているそうです。

節分の豆は、豆を炒る(魔目を射る)ことで邪気を祓った豆なので「福豆」と言われます。節分に福豆を食べるという風習には、「福」を身体に取り入れることで一年の健康を願うという意味があるそうです。

皆さん今年は「鬼は外!福は内!」と豆まきをされましたでしょうか~!

それでは今月のメルマガ、スタートです!!

(いいだ)

【MUSIC】sleepy.ab(スリーピー)

メディアコミュニケーション部 杉本です。
季節の変化と共に、聴きたくなる音楽、曲も変わっていく方も多いかと思いますが、
個人的にはこの季節、緯度が高い地域に住むミュージシャンが生み出す音楽が聴きたくなります。北欧、特にアイスランドとか最高ですね。

アイスランドといえば「björk(ビョーク)」や「Sigur Rós(シガー・ロス)」。


「Sigur Rós(シガー・ロス)」のライブは
2016年のFUJI ROCK FESTIVALの来日でも見て、勿論「サイコー!!」だったのですが、
個人的には冬に聴きたいです。
吐く息も白い真冬、静まり返った真夜中に、Sigur Rosを聴く時間は、
冬の楽しみのひとつでもあります。
(今年は暖冬で、関西では吐く息が白いどころか、暖かい気候が続いていますが…)

アイスランドと言えば、シンガーソングライターの「Ásgeir(アウスゲイル)」が
2月7日にNEWアルバム『Bury The Moon』をリリース、久々の来日公演も決定。
5月18日(月)にZepp DiverCity(TOKYO)の東京公演のみですが、気になるところです。

北欧ではありませんが、こういった音色のアーティストとしては、
「Bon Iver(ボン・イヴェール)」も忘れてはいけませんね。彼はアメリカ・ウィスコンシン州出身。
1月に来日公演を行っており、先日授賞式が行われた第62回グラミー賞で
3部門ノミネートされていたのも記憶に新しいところです。

さて、日本で緯度が高い、と言えば北海道ですね。
今日は北海道出身のバンド「sleepy.ab(スリーピー)」、
1月29日にリリースとなった最新アルバム「Fractal」をご紹介します。

sleepy.abは北海道を拠点に活動する3ピース・バンドで、
“眠るための音楽”をテーマに1998年に活動を開始。
繊細な旋律と声、内に向かったリリックとともに作り出すサウント・スケープで、
多くの人達を魅了し続けています。
結成から今もずっと北海道を拠点にしており、
結成20周年を経てもマイペースに、本当にマイペースに(笑)活動中です。

私が彼らの音楽に出会ったのは2006年リリースのアルバム「palette」。
CDショップの店頭でスピッツ草野マサムネさんのコメントともに
展開されているのを見て、視聴してその音世界の虜になりました。

穏やかでありながら、圧倒的な存在感。
冬を想起させる情景や心象風景を様々な角度から美しく描きだす彼らですが、
1月29日に何と7年振りのアルバム「Fractal」がリリースとなりました。

時を経ても色褪せない音像、一音目から「sleepy.ab」だと分かるその気配。
現代的でトリッキーなエレクトリックな要素を織り交ぜながら、
美しさ、危うさ、しなやかさ、それでいて根本にある強さを感じさせ、
待ってて良かったとファン心にも思う素晴らしい作品となっています。

元からのファンの方々は勿論、ポストロック、美しいバンドアンサンブルが好きな方は
ぜひ聴いてみてください。

ワンマンライブツアーも決定しています。
3月1日(日)大阪・梅田Shangri-La
3月15日(日)北海道・札幌cube garden
4月18日(土)東京・代官山UNIT

「sleepy.ab」オフィシャルサイト

(すぎもと)

【Shop In Temma】扇町うどん屋あすろう

私はここ一年ほど,遅めのランチの際に「おうどんいかへん?」とついつい足を運んでしまうお店があります。
元々おうどんがとても好きで,打ち合わせついでに北区豊崎にある「きすけ」に立ち寄ることも多かったのですが,
そこで修行された方が,会社の近くにおうどんやさんをオープン!!なんて幸せ!!
※2019年3月オープンなので,まもなく1年ですが,あったかいおうどんを食べてからレビューしようと思っていたらすっかり季節が過ぎてしまいました。

入口やテーブルのウッド推しなところもオシャレで好きだし,ライティングの感じもなんだか落ち着く!
店内でお子様連れいらっしゃっているお客さんをよく見かけますが,
ベビーチェアに子ども用の食器もあるようで,お子様連れでも配慮は完璧です。
おいしそうにおうどんを口いっぱい頬張っている子どもの顔に,私も癒されています♡

お箸でもちあげるだけでわかるおうどんのモッチリ感。
むにゅーとしながらもしっかりコシを感じる麺。
どうやら小麦粉、卵など厳選した材料で作った麺を一晩寝かせて作られているのだそう。
弊社の香川男児に言わせると,「ちょっとモッチリしすぎかな?」って言ってましたが,
私,関西出身のアラフォー女のココロはガッチリとらえて離しません!

私のオススメは,冷たいおうどんは,
「とり天と鯛ちくわ天の温泉たまごぶっかけ(950円)」,


温かいおうどんは「肉かまたまうどん(950円)」です。


一回ハマると同じものばかり食べてしまう性格のようで,もっぱらここの店はコレ!という感じで
メニューも見ずに注文してしまう日々です。
特に,とり天も鯛ちくわ天もサクサクでして,ちくわ天の概念かわったレベル。
うどんにつかってるのに,天かすがこぼれることなく,しっかり最後まで天ぷらしてくれています。

他には「梅わかめうどん(750円)」「とり天カレーうどん(950円)」「冷・生じょう油(650円)」
「冷・和牛肉おろしぶっかけ(980円)」などなど,とにかくうどんのコシを楽しんでほしいなーと
天満の隅の方から念を送っています。

本当にオススメなのでぜひ一度ご賞味ください。
※お近くの際はお誘いいただければお供します♡

「扇町 うどん屋 あすろう」
住所 : 大阪市北区天神橋3-8-3
営業時間 : 11:00~16:00
定休日 : 木曜日・第2・4水曜日
客席 : カウンター4席、テーブル14席


(おおた)

「月刊紐育音楽通信 February 2020」

(本記事は弊社のニューヨーク支社のSam Kawaより本場の情報をお届けしています)

Sam Kawa(サム・カワ) 1980年代より自分自身の音楽活動と共に、音楽教則ソフトの企画・制作、音楽アーティストのマネージメント、音楽&映像プロダクションの企画・制作並びにコーディネーション、音楽分野の連載コラムやインタビュー記事の執筆などに携わる。 2008年からはゴスペル教会のチャーチ・ミュージシャン(サックス)/音楽監督も務めると共に、メタル・ベーシストとしても活動中。 最も敬愛する音楽はJ.S.バッハ。ヴィーガンであり動物愛護運動活動家でもある。

できればニュースレターのイントロは明るくいきたいものです。しかし、今月も「悲劇」がそれを許してくれませんでした。スーパー・アスリート、コービー・ブライアント41歳のヘリコプター事故死です。
しかも13歳の娘も一緒の事故死はあまりに悲惨です。

彼の名前Kobeが「神戸」から来ていること、そしてコービー初来日の際に彼は阪神大震災からまだ3年少しの神戸に訪れて寄付を行っていることなどは、私よりも日本の皆さんの方がよくご存じでしょう。

個人的には、学生時代はバスケットボール選手で今はブルックリンの大学でアスレチック部門のディレクターを務めている私の息子にとってコービーはヒーローでしたので、コービーの試合がニューヨークである時は必ずと言って良いほど小さな息子を連れてゲームを観に行っていたことが忘れられません。

史上最強の攻撃力を持つと言われるあのレブロン・ジェイムズをして「コービーの攻撃力は欠点がゼロだ」と言わしめたコービーの“芸術的な”攻撃力(特に相手の動きを翻弄し封じてしまう彼の動き)。
コービーの師匠である名将フィル・ジャクソンをして「最も確率の低いシュートを決められる最高の選手」と言わしめたコービーのこれまた“芸術的な”シュート。本当に彼のプレイはスポーツとはあまり縁のない音楽人間の自分にとって「アート」でもありました。

かつては不倫・レイプ騒動や離婚騒動もあり、決して優等生であったわけではないコービーでしたが、両腕に妻と娘達の名前のタトゥーを入れ、特に4人の娘思いの良きパパであり、引退後はスポーツ界、特にバスケにおける女性の地位向上や進出をサポートするための事業を立ち上げていたことは、あまり知られていないかもしれません。

そんな矢先の事故死は、悔やんでも悔やみきれませんが、コービーの遺志は必ず誰かが継いでいくことでしょう。私自身まだ動揺が続いて文章もまとまりませんが、全てにおいて傑出していた偉大なアスリート、コービーの冥福を祈りたいと思います。合掌。

 

トピック:スキャンダルと悲劇と18歳。“大揺れ”の2020年グラミー賞

もはやグラミー賞が音楽界を代表するイベントなどではなく、音楽界を占うイベントでもないということは、これまでにもいろいろな角度からお話してきました。レコーディング・アカデミー(レコード協会とは別)なる、極めて政治的・権力主義的な組織によって運営され、アカデミー賞やエミー賞などに対抗する音楽界最高の賞と謳いながらも、同組織の会員のみによる秘密投票によって賞が決まるグラミー賞が、音楽の現場または音楽市場を正確に反映した賞とは言えないことは明らかです。ですが、音楽ビジネスにおける同賞の“権威”というのはやはり今も絶大であり、音楽市場とまではいかなくても“音楽世相”というものを反映したものであることは確かであると言えるでしょう。

そんな辛口の意見を述べてはいても、私自身、毎年賞の動きが気になってしまうことは否定できませんが、今年は賞の直前(10日前)にレコーディング・アカデミーの社長&CEOの解任という驚愕の事件が起き、今まで以上に注視せざるを得ませんでした。

この問題ですが、解任されたのは昨年8月に同職に就任したばかりのデボラ・デューガンで、同アカデミーの運営方法やグラミー賞の選考傾向のみならず、女性に対して差別的と取られる発言などによって批判の嵐にさらされていた前社長&CEOのニール・ポートナウの後を受け、レコーディング・アカデミー史上初の女性社長&CEOとして大抜擢されたばかりでした。それが、わずか5か月程での解任というのは穏やかではありません。

レコーディング・アカデミー側の主張によれば、デューガンが“不正行為”を行ったための解任とされていますが、これはデューガンのアシスタントからの申し立てによるものらしく、平たく言えば、デューガンによる彼女のアシスタントへの「パワハラ」であるとのことですが、その内容については「現在調査中」という、何とも歯切れの悪いコメントを発表しています。それでいてデューガンが「情報漏洩」と「誤情報」も企てたとして、その隠蔽のためにレコーディング・アカデミーに対して多額の請求を行ったということにも言及しているようです。

解雇された当のデューガンも黙ってはいません、彼女はまずレコーディング・アカデミー側のコメントに対する反論として、“被害者”であるという自分のアシスタントに対する「パワハラ」を完全に否定しており、そもそもこのアシスタントが彼女の前任者ポートナウの“子飼い”のベテラン管理職スタッフであったということ、そしてこのアシスタントがパワハラ告発後、休暇を取って居所もわからないままであるということも明かしました。

デューガンの反論でショッキングなのは、デューガン自身は組織改革のために動き始めた矢先に解雇された、と主張していることです。具体的にはレコーディング・アカデミーの人事部に対し、同アカデミー内の様々な問題や苦情を詳細なメモにして提出した約3週間後の解雇であったとのことですが、デューガン自身が語ったメモの告発内容はかなり強烈なものと言えます。

まずは、デューガンの前任者ポートナウのアーティストに対するセクハラ/レイプ疑惑、そして、同アカデミーの法務顧問からの彼女自身に対するセクハラ行為、更に驚くべきは(私自身はあまり驚きませんが…)グラミー賞の指名システム/プロセスの不透明性と不正行為(賞候補は1万2千人の同アカデミー会員によって投票され、更に同アカデミーの「秘密委員会」によって上位20が審査・選択される)、そうした不正行為によって過去にエド・シーランとアリアナ・グランデの賞ノミネートと受賞が仕立て上げられたこと、などを報告したというのです。

これだけの内容であれば、例えそれらが真実であったとしても、または逆に虚偽であったとしても、同アカデミーとしてはそのような報告をする人物を社長&CEOに留めておくことはできないと言えますし、当のデューガンとしても、この体当たり戦術は当然のことながら解雇覚悟のことであったと思われます。しかもデューガンは解雇の一週間後にはアメリカの人気テレビ番組に出演して上記のことを暴露し、弁護士チームを結成してレコーディング・アカデミーと真っ向から対決する姿勢を示しているので、その度胸については大したものであると言えます。

当然のことながらレコーディング・アカデミーの方は、デューガンの主張は事実無根と相手にもしていないようですが、そうは言っても相手は単なる一従業員ではなく、例え5か月間であっても社長&CEO職にあった人間です。それを晴れのグラミー賞授賞式の僅か10日前に解雇するというのは余程のことであり、尋常なことではありませんし、メディアや音楽業界のみならず、同アカデミー内つまり会員達の動揺は極めて大きく、同アカデミーとしては騒ぎの鎮静化に必死のようです。

暫定で社長&CEOに就任したのは、デューガンの社長&CEO就任の約2か月前に、同アカデミーの議長に就任していたハーヴィー・メイソンJr.。ジャズ・フュージョン関係に詳しい方ならすぐにおわかりのように、偉大なドラマー、ハーヴィー・メイソンの息子です。

まずレコーディング・アカデミーは自分達の会員向けに、暫定措置としてデューガンの代わりにこのメイソンJr.の社長&CEO起用を伝え、同アカデミーと会員との変わらぬ信頼関係を強調するレターを送りました。それに続いて今度は同アカデミーの女性役員が会員達に、同アカデミーの女性スタッフ達が男性スタッフ達と協力し、いかに同アカデミーの多様性を進歩させてきたかを説明するレターを送り、更に今度はメイソンJr.自身が会員達に向けて、グラミー賞選考システムの透明性、指名審査委員会の多様性、利益相反を防止するための規則、および委員の名前の機密性などを強調するレターを送りました。

更にメイソンJr.は同アカデミーの変革のための具体案と計画を会員達に伝えましたが、デューガンに言わせればそれらは全てデューガンが社長&CEO就任後に彼女の指示の下で合意されたものであるとのことで、デューガン自身のアイディアを自分のアイディアにすり替えているメイソンJr.の対応についても批判しています。

 

デューガンと彼女の弁護士チームは、メイソンJr.がディーガンのアイディアをコピーしただけという具体案のみならず、レコーディング・アカデミー会員から独立した専門委員会と委員長の設置、同アカデミーにおける個人間や理事会内の取引や公的非営利資金の使用に関する真に独立した調査、グラミー賞候補上位20を審査・選択する「秘密委員会」の廃止、そしてデューガンの社長&CEO復帰を求めてアクションを起こしていますが、デューガンの主張の基盤は、やはり白人メインの男性社会(ちなみに、暫定新社長&CEOのメイソンJr.はアフリカ系アメリカ人)による同アカデミーの差別意識の撤廃と腐敗の一掃にあり、そして賞選考の透明性を最重要課題として捉えており、先日のテレビ出演でもそのようなことを力説していました。

現時点でディーガン側とレコーディング・アカデミー側双方の主張や事の真相を裏付ける証拠はまだ充分ではなく、正しい判断ができる段階にはありませんし、この後裁判闘争となれば時間の掛かる話となる可能性も高いと言えます。

また、今回のスキャンダルが、映画界のハーヴィー・ワインスタイン・スキャンダルと共に最近の#Mee Tooムーブメントと連動してくかという可能性もまだ未知数であると思いますが、少なくともグラミー史上最大のスキャンダルであることだけは間違いないと言えるでしょう。

そうした“嵐”の中で行われた今年のグラミー賞でしたが、今回は更にイントロでもお伝えしたようにコービー・ブライアントの事故死をいう悲劇が重くのしかかりました。なにしろコービーが事故死したのはグラミー賞当日の朝でしたし、グラミー賞の会場であるロサンゼルスのステイプルズ・センターは、コービーが在籍したロサンゼルス・レイカーズの本拠地でもあるわけです。

今回のグラミー賞のパフォーマンスにおいて、アリシア・キーズがこのステイプルズ・センターを「コービーが建てた」という言い方をしていましたが、確かにこのステイプルズ・センターはコービーのレイカーズ入団(1996年)後、シャキール・オニールとのコンビによって新しい黄金時代を迎えたレイカーズの人気・躍進によって1999年にオープンしたアリーナです。

しかも、オープンしたその年のシーズンからシカゴ・ブルズで3連覇を二度成し遂げた名将フィル・ジャクソンを迎えて新たな3連覇(つまりブルズ~レイカーズだと通算6連覇!)を成し遂げたわけで、その意味でもチームの主戦力であった「コービーが建てた」というのは決して過言ではないと言えます。

そうした背景もあって、コービー事故死の当日におけるこのアリーナでの授賞式やパフォーマンスというのは、アーティスト達にとってはあまりにエモーショナルで重い試練でもあると言えました。

上記のいきさつや背景を全て抜きにすれば、今回のグラミー賞はビリー・アイリッシュという18歳の少女が最年少でグラミー5部門(年間最優秀アルバム賞、年間最優秀レコード賞、年間最優秀楽曲賞、最優秀新人賞、年間最優秀ポップ・ボーカル・アルバム賞)を制覇したことが歴史を塗り替える快挙と言えました。

特に主要4部門(アルバム、レコード、楽曲、新人)の制覇というのは81年のクリストファー・クロス以来ということで、それが女性で最年少ということは長いグラミー賞の歴史においても、また音楽業界にとっても大事件であると言えます。

しかし、前述のもう一つの大事件の後では彼女の受賞にも一部で疑問が生まれています。つまり、レコーディング・アカデミー、そしてグラミー賞の存続にも影響しかねない今回の大スキャンダルから世間の目をそらすために、レコーディング・アカデミーは誰もが驚く受賞劇を仕立て上げ、更に、結果的にコービーの悲劇も利用した、というわけです。

これは受賞したアイリッシュや彼女のファン達にはあまりに酷で心ない意見・見方であると言えますし、不慮の死を遂げたコービーに対しても無礼な話です。私自身もそこまでネガティヴに物事を捉えることには賛同できませんが、それでもレコーディング・アカデミーに関してはあまりにネガティヴで不透明なことを多く、しかもその極めつけが今回の女性新社長&CEOの解任劇という結果になっているため、全てに疑いが生じてしまうという厳しい状況にあるとも言えます。

確かにアイリッシュの音楽や歌に関してはかなりの賛否両論があり、好き嫌いもはっきりと分かれます。自分のプライヴェート部分をさらけ出し、悩みや不安、特異性やコンプレックスなども一つのコミュニケーション・ツールにして同世代からの圧倒的な共感を得ている彼女の歌には、逆に言えば世代による拒否感や分裂、普遍性の欠如といった部分も存在します。しかも、グラミーでこれだけの賞を独占受賞したことには、やっかみや疑問視する意見もあると思いますが、それでも2019年のアメリカ音楽界において、アイリッシュの音楽が起こした旋風は間違いなく一つの大きな“現象”でした。

何しろ、彼女のデビュー・アルバムはメジャーなレコード会社からではなく、SoundCloudというベルリンを拠点とする音楽ファイル共有サービスからの自費リリースでしたし、アイリッシュの音楽パートナーとして作編曲、レコーディング、プロデュースを手掛ける兄のフィニアス・オコネルとの音楽制作は、今回の受賞作を始め、基本的に彼らの自室(寝室)を拠点としています。つまり、近年レコーディング・プロダクション自体がすっかり変革してきている中で、この兄妹のプロダクションというのは“宅録”という、ある意味で究極の低コスト・プライベート・プロダクションを実現しているわけです。

そのオコナルは受賞の際に「最も創造的になれるのは最もリラックスできる場所(自室)」と語り、「“手作りクッキー”でグラミー賞がもらえたのはとても光栄」とも述べていたのは非常に印象的でした。

彼らの受賞は特にこれから音楽を目指す少年・少女たちに対して、強烈なアピール/インパクトとなっていると言えます。それは、お金もプロ仕様の楽器も機材もスタジオもいらず、自分のベッドルームでくつろぎながら、手頃な値段で手に入る機材を使って音楽制作を行い、しかもグラミー賞を受賞することだって可能、という意識改革を引き起こしたとも言えるわけです。

アイリッシュは受賞のスピーチでは「グラミー賞についてはいろいろとジョークを言ったけど、今は心から感謝したい」と語っていましたが、「批判」とは言わず「ジョーク」というのは彼女らしいかわいい言い方であると思います。ですが、正確にはアイリッシュはグラミー賞自体をジョークだとも言っており、彼女にとってはグラミー賞などどうでも良い存在であったと言えるわけで、そんな彼女がグラミー賞を制したというのは最高のジョークであるとも言えます。

相変わらずダボダボの服で授賞のステージに立ったアイリッシュですが、今回の授賞式でも、相変わらず熱唱と感涙の圧倒的なパフォーマンスが披露され、パフォーマーも出席者も、女性達は自分達の考える女性らしさをアピールする思い思いの衣装で登場していました。そんな中でダボダボ服に虚ろ気な眼差しとシニカルな笑顔をたたえて戸惑いを見せながらも常に淡々としているアイリッシュの存在は、ユニークというか超異色というか、とにかく際立っていたと言えます。

ショーアップされた豪華絢爛さの中でも自分を失わず偽らず貫き通す頼もしさ。

そんな意味で彼女の受賞は、ベッドルームからそのまま飛び出したような自然体のアンチテーゼによって、グラミーの改善・改革を気付かぬうちに既に実現してしまっているとも言えるのかもしれません。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
今月もお読みいただきありがとうございました。
次の配信は3月上旬の予定です。

お問い合わせ、配信停止希望はコチラ≫≫≫

 

 

【STEP INFO】令和2年のスタート

明けましておめでとうございます。
今年もどうぞよろしくお願い致します。
 
いよいよ今年はオリンピックイヤーですね。
第32回オリンピック競技大会は7月24日から8月9日までで33競技、
東京2020パラピンピック競技大会は8月25日から9月6日までで22競技が
行われます。

思い起こせば、2013年9月8日、当時のIOC会長ジャック・ロゲ氏が
手元のカードをくるりと返し、「ト-キョ」と開催都市を発表したのが
もう遠い昔のことのよう…?いやいやまるで昨日のことのよう…?
いずれにしても新年を迎え、改めて時代がどんどん進んでいくことを
感じずにはいられません。

弊社は昨年、東京渋谷に新たにスタジオをオープンしました。
今年も時代の流れに乗れるよう、いや一歩先取りできるよう
邁進してまいりますので何卒よろしくお願いいたします。

それでは今年初のメルマガ、スタートです。

            (フクイ)

【MUSIC】FAITH

2020年の一発目を担当させていただきます
メディアコミュニケーション部の門脇です!!

2019年も何組か気になるアーティストに出会いましたが、
2020年個人的に注目しているのは「FAITH」というバンドです!!

メンバー5人のうち3人がハーフ!!今年メンバー全員が20歳という若さ!!
そして数多くの素晴らしいアーティストが在籍するオフィスオーガスタ所属で、
出身は「信州そば発祥の地」という長野県の伊那市。

音楽性はキャッチーで、POPで聴いていて元気が出る!!

何度かライブも見ましたが、本当に楽しそうに演奏するんです!!
自然と笑顔になるような!!

1月15日にメジャーデビューアルバム『Capture it』でメジャーデビューするんですが、
これまでのキャッチーさ、POPさに加え10代ならではの葛藤、不満、
不安を描いた楽曲などもあり新たな「FAITH」の一面を感じました。

ボーカルのアカリ・ドリチュラーさんはモデルとしても活動!!
国境も世代も超えて愛させる存在になっていくのではと思っています。
ぜひLIVEに足を運んで欲しいです!!

(門脇)

【Shop in Azabu】川上庵

皆様、あけましておめでとうございます。
今年一番にご紹介させていただくのは、麻布スタジオから徒歩5分の所にある「麻布 川上庵」です。

蕎麦をメインとした和食ダイニング。
ランチ、コースもあります。

こんな素敵なお店を、過去のメルマガでご紹介してなかったというのが不思議でなりません。

のれんをくぐると、地下へと降りる階段があり、
右写真の奥に見える扉の向こうがお店です。
佇まいからして、すでにお洒落な空気が漂っています。

       

「かけそば(920円+税)」をはじめとする、様々な種類の蕎麦をランチタイムでも食べることができますが、
今回は奮発して昼のコース(1,800円+税)を注文してみました!

4種の前菜は左から、
豆腐の醤油豆味噌、蒸し鶏の鬼おろし餡、鯵の南蛮漬け、金目鯛のカルパッチョです。

コースの蕎麦は、かけ・せいろ・クルミだれせいろ・おろしから選べます。
川上庵の名物は「クルミだれせいろ」という事でこちらをチョイス。

「クルミだれせいろ」はその名の通り、濃厚なつけダレにクルミが入っています。
細すぎず、太すぎず、丁度良い二八蕎麦と、このクリーミーなタレが良く絡み、口の中いっぱいに満たされます。

最後のデザートの杏仁豆腐もおいしくいただきました。
お昼からなんとも贅沢な気分になれる、川上庵ランチコースのご紹介でした。

そして一緒に行ったスタッフは「かき揚げ天丼と一口そば(1,500+税)」を注文しました。
王冠のような~という表現がぴったりかもしれません!
かき揚丼と蕎麦、どちらも楽しめるよくばりメニューです。
お昼からガッツリいきたい方は是非。

夜にも伺ったことがありますが、蕎麦はもちろん、一品料理もどれも美味かったです。
お酒の種類も豊富で、料理に合わせてお酒をチョイスできるところも魅力的です。
そしてなんと
朝4:30まで営業していますので、
お蕎麦屋さんでは珍しい、とことん(!)楽しめてしまうお店でもあります。

「川上庵」で検索したら、あの世界のグルメ(!?)渡部さんも
イチオシのお店としてブログで紹介しており、
あたたかい「鴨煮込み蕎麦」も絶品なんだとか。

テーブル席とカウンター席、そしてペット可のテラス席、合わせて50席程あるようです。
年中通して楽しめるお蕎麦、
麻布十番に来た際は是非。

麻布 川上庵
【住所】東京都港区麻布十番 3-5-7 B1階
東京メトロ南北線、都営大江戸線「麻布十番駅」1番出口より徒歩2分
【営業時間】11:30~4:30 (3:30 LO)  (ランチメニューの提供は11:30~17:00)
【定休日】なし
【予約・お問い合わせ】 ‎03-5439-5757

(山中)

【月刊紐育音楽通信 January 2020】

(本記事は弊社のニューヨーク支社のSam Kawaより本場の情報をお届けしています)

 Sam Kawa(サム・カワ) 1980年代より自分自身の音楽活動と共に、音楽教則ソフトの企画・制作、音楽アーティストのマネージメント、音楽&映像プロダクションの企画・制作並びにコーディネーション、音楽分野の連載コラムやインタビュー記事の執筆などに携わる。 2008年からはゴスペル教会のチャーチ・ミュージシャン(サックス)/音楽監督も務めると共に、メタル・ベーシストとしても活動中。 最も敬愛する音楽はJ.S.バッハ。ヴィーガンであり動物愛護運動活動家でもある。

                     


 いよいよ時代は「20年代」に突入しました。10年単位で時代を切る言い方は90年代(1990年代)までは一般的でしたが、21世紀という新しいミレミアムを迎えて「00年代」、「10年代」という言い方は今一つしっくりとこなかったようですし、一般的に浸透しませんでした。「20年代」と言うと、まだまだ1920年代を彷彿とさせるものがありますが、私のような古い時代の人間でも、20年代の記憶やリアリティというものは持ち合わせていませんし、今後は新しい“20年代”、“30年代”という言い方が普及していくと思われます。

 しかし、アメリカでは既に10年単位で時代を語る感覚は、特に若い人達の間では薄らいでいると言われます。それは時代の進み方が20世紀とは桁違いに速く、10年で時代をくくる捉え方自体にリアリティがないため、と様々なメディアや論者は語っています。
 私自身にとっては、特に「60年代」と「70年代」というのは強烈なインパクトと記憶、そしてリアリティが今でもあると言えますが、確かに「00年代」や「10年代」というくくりは言葉の響きだけでなく、実際にもほとんどリアリティは感じられませんでしたし、「20年代」という言い方も言葉の響きとしては少々親近感も感じられますが、激動の時代の只中にいると、10年単位というくくりには、もうリアリティが感じられなくなっています。

 それよりも、やはり「2020年」という言葉と響きには、アメリカにおいても日本においても、期待と不安が入り乱れた様々な思いが交錯し、多くの人々にそれなりのリアリティと、それなりの影響を与えているのではないでしょうか。
 日本は何と言ってもオリンピックの年ですし、昨年「令和」という新しい時代を迎えて何かしらの期待感や明るさも漂っているのではないかと思われますが、アメリカにおいてははっきり言って“真っ暗”と言っても良い状況であると感じます(笑)。何しろ、その結果の行方は別として「大統領弾劾」という大事件(快挙?)が起きたまま突入した2020年です(アメリカにおける「大統領」という存在の大きさは「首相」の比ではなく、それは“敬意を集める国のリーダー”であり、国の「最高指揮官・司令官」であり、ある種「国王」にも通じる絶対性をも有しています)。
 更に今年の大統領選挙はトランプ再選が濃厚と言われることによる期待感(トランプ支持者側)と絶望感(反トランプ側)の完全な二分化を引き起こしていますし(もっとも、4年前は“まさかの”トランプ当選となりましたので、今回は逆の“まさか”が起こる可能性もゼロではないと言えます)、失業率は近年最低で雇用率は上がり景気も良いなどとメディアは伝えますが、富裕層にはリアリティがあっても、ミドルクラス以下には全くといって良いほどリアリティの無い不透明・不確実な状況が続いていると言えます。
 また、その理解・解釈によって対立が続く環境問題は、現実的には自然災害が激増する更に深刻な状況を迎えてきていますし、最近は他のニュースに振り回されて取り上げられる機会が減っている移民問題は実は全く好転しないどころか益々憂慮すべき事態を迎えています。

 そして実はこれがアメリカ(のみならず全世界)にとって2020年最大のリスクとなる可能性が高いと言われる中国との問題は、香港と台湾との問題も絡めて益々ヒステリックな状況となっていますし、それ以外にも問題は山ほどあって、四方八方に“暗く巨大な壁”が横たわっていると言えます。
 そんな状況ですから、暗く不安なニュースに振り回されていては、それだけで一日が終わってしまいますし、何も前に進みません。社会意識の低い人達は、景気が良くなっている(と言われている)のだからエンジョイすれば良いではないかと様々な問題に対して益々無関心となっていますが、逆に社会意識の強い人達の中にも「無関心」・「無視」というスタンスは徐々に広がり始めているとも言われています。
 これは、ここまでどん詰まりの状況になると、参加することやプロテストすることでは何も解決しないので、「無関心」と「無視」を徹底させて、ある種のボイコット運動や意識改革に発展させようという解釈や試みとも言われていますが、果たしてその行方はいかに、といったところでしょうか。

 いずれにせよ、2020年は“和”の意識は益々薄れ、良い意味でも悪い意味でも“身勝手さ”が益々強くなっていくのは確かかもしれません。
 新年早々、先行きの不安ばかりですが、どちらにどう転ぼうとも、皆さんのご健康と ご活躍を祈り、Happy 2020!


トピック:“神聖不可侵”のクリスマス・ソング

 遅ればせながらの話題ではありますが、2019年、皆さんはどんなクリスマスを過ごされたでしょうか。チャーチ・ミュージシャンとしても活動する自分としては、この時期は大変忙しく、また心温まる季節でもあるのですが、普段の生活レベルで言えば、クリスマス・シーズンはいかに人混みを避けるか、というのが課題の一つでもあります。  
 この時期にニューヨークに来られたことのある人には言わずもがなですが、マンハッタンの中心部というのは本当にまともに移動することもできない、観光客と買い物客でごった返した“人混みの嵐”となります。そんな人混みを見学して楽しむ観光客の人達は良いですが、日々の仕事に追われ、時間に追われている人間にとってはたまったものではありません。まあこの時期に仕事をしなければならないというのが哀れというか悲しむべき状況とも言えますし、本当は長期休暇を取って暖かい場所で過ごすのが理想ではあるのですが…。

 といった愚痴はさておき、今年のアメリカ音楽業界では、クリスマスは久々にいろいろな話題がありました。まずは、既に“クリスマス・シンガー”または“ホリデー・シーズン・シンガー”とのレッテルを貼られつつあるマライア・キャリーです。マライアは2014年から、彼女としては小規模なホールと言える、マンハッタンはアッパー・ウェストにあるビーコン・シアターでのクリスマス・コンサートが相変わらずソールドアウトで、この時期は毎年話題となりますが、今年は彼女の代表曲の一つと言える「恋人達のクリスマス(原題は「All I Want for Christmas Is You」ですから「クリスマスに欲しいのはあなただけ」といったところでしょうか)が、なんと25年という長い歳月を経て、アメリカで最も権威あるチャートとされるビルボードのHot 100でナンバー・ワンになるという出来事がありました。ちなみに今回晴れてナンバー・ワンとなったのは、本人によるニュー・リミックス/ニュー・アレンジでもなく、1994年にリリースされたオリジナル曲そのものそのままです。

 チャートのナンバー・ワンに到達するまでに長い時間がかかった曲というのはこれまでにもたくさんありました。しかし、25年というのは何とも気の長いというか気の遠くなるような話であり、快挙と言えば快挙ですし、話題性としても充分と言えました。
 実はそれよりも、今回の同曲のナンバー・ワンによって、マライアの同チャートでのナンバー・ワン曲数は計19曲となり、未来永劫記録が塗り替えられることはないであろうと思われていたビートルズの20曲に、あと1曲と迫る結果となったことの方が間違いなく快挙であると言われています。

 ちなみに、マライアと共に計18曲のナンバー・ワン曲を誇っていたアーティストにはエルヴィス・プレスリーとダイアナ・ロスがいます。ですが、プレスリーの場合は18曲中半数以上がHot 100というチャートが始まった1957年以前の別チャートによるナンバー・ワンであるため、それらを加算して18曲とすることには異論もあります。
 一方、ダイアナ・ロスに関してはソロ活動前のスプリームス(発音的には「サプリームス」に近いですし、「シュープリームス」では英語として全く通じません)のナンバー・ワン曲も含めての18曲ですから(更にはライオネル・リッチーとの共作/デュエット曲もあり)、こちらもやはり異論のあるところです。

 これに対してマライアの場合は解釈的にも異論の無い19曲と言えますし、しかも一応まだバリバリの現役ですから、今後ナンバー・ワン曲を送り出して、ビートルズと並び、更にはビートルズを上回る可能性も残されています。
 ですが、音楽業界では“神聖不可侵”とも言えるビートルズですし、アメリカの音楽業界においても、既に少数とはなっていながらも、ビートルズ世代というのは長老・重鎮クラスにまだ残っています。よって、これはビートルズ・ファンのみならず、音楽業界内としても、あまり諸手を挙げて歓迎・祝福できる愉快で喜ばしい話とは言えないようです。

 そもそもマライアは、今回のチャート・ナンバー・ワン達成の前から、この自分自身の名曲の“広報宣伝”活動を活発に展開していました。テレビ・メディアへの出演、クリスマスやホリデイ・シーズン絡みの様々なイベントへの出演、そして極めつけは同曲の新ミュージック・ビデオの発表です。
 ご存じの方も多いでしょうが、同曲は1984年のリリースと共に2つのオフィシャル・ミュージック・ビデオが発表されました(その他にもリミックス・バージョンでのビデオや、ジャスティン・ビーバーとのデュエット時のビデオ等もありますが)。どちらもマライア自身のディレクションによる作品でしたが、特に最初のビデオは当時マライアが結婚していた元ソニー・ミュージック(元CBSレコード)のCEOとしてアメリカ音楽業界の帝王の一人(カサブランソニー・ミュージック・エンターテイメントを)と言われるトニー・モトーラもサンタクロース役で出演するホーム・ビデオ風の作りで、今のマライアにとってはあまり嬉しくない作品であると言われていました。

 ですから、同曲のリリース25周年として全く新しいミュージック・ビデオをリリースした意図は充分理解できますし、そのビデオ作品に続いて様々なメディアやイベントに出演して大々的なパブリシティを行ったのも当然と言えば当然です。ですが、その結果として25年後に同曲がナンバー・ワンに輝くというのは、あまりにもできすぎた話であり、できすぎたお膳立てである、というわけで、そうした中で今回の同チャート・ナンバー・ワンに対する不信・疑惑もささやかれました。

 今や大スター中の大スターであり、アメリカ音楽界における“女王様”として君臨し、誰も彼女に口を挟めるものはいないと言われ、音楽界における“トランプ級”の存在でもあるマライアですし、“豪腕”で知られるマライアと彼女のプロダクション・チームが巧みにメディア操作/チャート操作を行ったとしても何の不思議はありません。
 そもそもメディア操作というのは、今の音楽・芸能界のパブリシティにおける一つの手段ですし、ビジネス上のアドバンテージや金の動きといった部分を除けば、今やチャート自体の権威というものが完全に失墜している状況で、チャートの信頼性・信憑性をどうこう論議しても、それは大した意味もなく、やっかみにも聞こえがちです。
 実は同曲は昨年もクリスマス時期に同チャートで3位まで上昇したという経緯・伏線もありました。そのため、毎年この時期になるとチャートで上昇するこの名曲を、25年という節目を利用して一気にナンバー・ワンに上り詰めることを実現したマライア陣営の“戦略・手腕”は、実に見事であったと言うべきでしょう。

 クリスマス・ソングと言えば昨年と今年、もう一つ興味深い動きがありました。それは既存のクリスマス・ソングの名曲の放送禁止という措置です。
 具体的には昨年は「ベイビー、イッツ・コールド・アウトサイド」、そして今年は「イッツ・ビギニング・トゥ・ルック・ア・ロット・ライク・クリスマス」というクリスマス・シーズンには欠かせない代表的な名曲が立て続けに放送禁止となりました。
 ただし、放送禁止と言っても、現在はかつてのラジオ黄金時代とは違い、音楽が様々なメディアを通して流され、聴かれている世の中ですので、いわゆる全面放送禁止というわけではあいません。
 今の時代は放送に関しては、メディア・ブロードキャスティング・カンパニーという存在が、契約を結んでいる様々なメディアの企業・組織に対して音楽を供給するという形態が一般的になっていますが、今年の場合は、その大手メディア・ブロードキャスティング・カンパニーの一つであるMood Musicという会社が「イッツ・ビギニング・トゥ・ルック・ア・ロット・ライク・クリスマス」の放送禁止を発表しました。
 その結果、Mood Musicと契約しているストリーミング(パンドラ)、大型店舗(ターゲット)、ホテル(マリオット、ヒルトン、ハイアット)といった企業・組織に対しては同曲が供給されなくなり、それらを通しては同曲を耳にすることはできなくなったというわけです。

 このMood Musicは、2011年にケーブル・ラジオやインターネット・ラジオを通して商業ユースの音楽供給企業として歴史のあるMuzakを買収したことで知られています。  
1930年代のラジオ黄金時代において急成長したMuzakは、間もなくしてワーナー・ブラザーズに買収され、その後もオリジナル・コンテンツやテクノロジーの分野で発展し続けましたが、2009年に破産申請して2010年に倒産。その後、Mood Musicに買収されたという経緯を持ってます。
 ですが、商業ユースの音楽ビジネスにおいては長い歴史と豊富な経験・実績を持っており、それを受け継いだMood Musicは、上記のように大型企業に対する商業ユース音楽供給において巨大なシェアを誇っているので、その影響力は決して小さくはありません。

 今回、「イッツ・ビギニング・トゥ・ルック・ア・ロット・ライク・クリスマス」が放送禁止となった理由は、歌詞の中に「ピストル」という言葉が入っていたためでした。 
 トランプ政権下の政府や社会一般の動きとは全く逆に、リベラルなスタンスが際立ち、銃規制にも積極的である音楽業界サイドから、例えクリスマスの名曲であっても歌詞において銃を肯定的に扱う歌は放送を禁止するという、非常に明快な理念やロジックに基づいた対応であったとも言えました。
 しかし、ペリー・コモを始め、ビング・クロスビーやジョニー・マティスの名唱で知られ、毎年クリスマス・シーズンになると街中(店舗)やラジオからは必ずと言って良いほど流れてくる名曲が、一部の場所ではあっても消えてしまったというのは、何とも寂しい思いもあります。

 一方、昨年の「ベイビー、イッツ・コールド・アウトサイド」はもっと事情が複雑です。この曲の場合は、歌詞の内容が#Mee Tooムーブメントを中心とした女性の権利運動サイドからの批判を浴びて、アメリカの地方(オハイオ州クリーブランド)ラジオ局が放送禁止を発表し、続いてカナダのラジオ局も同調の動きに出ました。
 同曲は基本的に男女のデュエット曲で、クリスマス・ソングの中でもいわゆる“恋愛ソング”と言われる範疇に入るため、神聖なクリスマスに相応しい曲ではないと昔から批判や論争もあったいわく付きの曲でもあります。
 ですが、これまで実に膨大な数の有名アーティストのコンビによって歌われ続け、ざっと代表的なところを挙げると、ルイ・ジョーダンとエラ・フィッツジェラルド、ボブ・ホープとドリス・デイ、サミー・デイヴィスJrとカーメン・マクレエ、レイ・チャールズとベティ・カーター、ロッド・スチュアートとドリー・パートン、ボビー・コールドウェルとヴァネッサ・ウィリアムス、ジェイムス・テイラーとナタリー・コール、ウィリー・ネルソンとノーラ・ジョーンズ、シーロー・グリーンとクリスティーナ・アギュレラ、ダリアス・ラッカーとシェリル・クロウ等々、実に数多くの、そして意外な組み合わせのバージョンがリリースされてきました。

 ちなみに、この“意外な組み合わせ”の理由としては、歌詞の危なさから、歌う二人の危ない関係を連想させない少々ミスマッチな組み合わせが必要なため、という説もあるくらいですが、実際にこの歌の“危険度”は、ある意味で「イッツ・ビギニング・トゥ・ルック・ア・ロット・ライク・クリスマス」の比ではありません。
 そもそも歌う男女はオオカミとネズミに例えられ、簡単に言えば、デートの後に二人はオオカミの家に立ち寄り、遅くなったので帰らねばと思い迷うネズミを、オオカミがあの手この手で引き留めて口説こうとするという内容の歌であるわけです。
 「外は寒いし」と誘いをかけるオオカミの巧妙な歌詞(セリフ)も女性にとっては眉をひそめるものと言えるでしょうが、ネズミの言い訳も本心がどこにあるのかわからない曖昧な部分もあり、特に#Mee Tooムーヴメント側からは、「男性の家にいるという絶対的に不利な状況下で女性の揺れる心を描くというのは女性の地位をおとしめるもの」、「同意の下でのレイプという言い訳を容認しかねない」など、その批判はかなりエスカレートしました。しかも歌の最後の方では、ネズミが「私の飲み物に何か入れた?」とオオカミに尋ねる部分があり、これはレイプの常套手段であると糾弾されました。

 確かに1940年代半ばに書かれたこの歌詞の内容が、今の時代には全くそぐわないものであることは間違いないと言えます。今や#Mee Tooムーヴメントが多くの男性達を恐怖に陥れている(?)アメリカも、いわゆる女性の権利運動やウーマンリブ運動が盛んになるまでは、女性の地位は極めて低く、音楽の世界、中でも歌詞において女性を単に性的な対象・存在と見なす、男性側からの身勝手で差別的な視点が主流であり容認されてきました。
 それは現代においても根強く残って様々な問題や事件、悲劇を生み出し続けているというのが#Mee Tooムーブメントの主張の根底にあるわけですし、今後このようなケースは音楽、映画、演劇、文学など様々なアート&エンターテイメントの分野で噴出してくることは必死であると言えます。

 ちなみに、この曲に関しては今年のクリスマス・シーズンにジョン・レジェンドがケリー・クラークソンを相手役に迎えて、危ない部分の歌詞を変更する新バージョンを発表して話題になりました。
 つまりこれは、単に送信するメディア・サイドによる規制ではなく、アーティスト・サイド(しかも男女両サイドから)が自主的に規制・調整を行ったケースとして特筆すべき点があると言えます。
 しかしそうした試みも、前述の銃規制の観点から放送禁止とした措置も、トランプ・サポーターを始めとする保守勢力からは、“愚かなリベラル達によるアメリカ文化の破壊行為”と目の敵にされて、ここでも激しい対立の構図を生み出してしまっています。
 何をやっても国が二分されていがみ合うという今のアメリカの図式は、まだまだ当分続いていきそうです。

【After Word】1月

今月のメルマガはいかがだったでしょうか。

今年はオリンピックも開催され、日本が賑わう1年となりそうですね。
オリンピックに合わせて街の様々な部分変わっていき、
少し寂しいような嬉しいような複雑な気持ちです。

弊社も様々な事に挑戦して、日々皆様のニーズにお応えできるよう努力してまいりますので、
本年も何卒よろしくお願い申し上げます。

(鈴木)

【STEP INFO】冬野菜

年の終わり、12月ですね。
1年が本当にあっという間に感じます。

ここ数年の中でも特に暖かい今年の冬ですが、
それでも寒暖差による不調やインフルエンザの流行などで、体調管理に気を付けたいこの頃。


そんな冬に免疫力を高める旬の冬野菜を食べましょう!

冬野菜といえば白菜、小松菜、ほうれん草、など
定番の野菜たちは主に鍋の具材になるような葉菜類が多いですね。
あとは、冬至にいただくかぼちゃだったり、なぜか寒い日に食べると美味しいさつまいも。

これらの野菜を鍋で煮込んで食べるのもいいですが、
僕は旬の野菜たちを好物のカレーに放り込んで食べようと思っています。
いわゆる冬野菜カレーです!

    

かぼちゃとさつまいもの甘みのあるマイルドなカレーや
蓮根、ほうれん草をみじんぎりにしてドライカレーにしてみたり…

さっそく週末に作ってみようと思います。


それではメルマガ12月号スタートです!


(宮道)

【MUSIC】Gully Boyとインドのヒップホップ

メディアコミュニケーション部の江渕です。

前回
は88 Risingというレーベルとアジアのヒップホップについて寄稿しました。
今回はある映画から知ったインドの
ヒップホップアーティストについて書かせていただきます。

10月、「ガリーボーイ」というインド映画が日本で公開されました。
インド映画と言うと「ムトゥ踊るマハラジャ」に代表される
歌って踊るボリウッド作品を連想される方も多いかと思いますが、
この「ガリーボーイ」の題材はヒップホップ。
「ガリー=Gully」とは路地裏の事で、インドはムンバイにあるスラムで暮らす青年が
ラッパーとして成り上がるサクセスストーリーです。

プロデューサーはあのNAS、
インド社会が抱える格差、宗教的差別なども描き、
インド版「8 Mile」と高い評価を得ています。
インド版「8 Mile」と呼ばれたのにはその題材、サクセスストーリー以外にも
実在のインド人ラッパーの半生を描いた点も理由に挙げられます。
モデルとなったのは二人のインド人ラッパー、NaezyとDevineです。
まずは主人公にラップを教えるMCシェールのモデルとなったDevineの曲を。
Yeh mera Bombay。

インドの伝統音楽を取り入れたビートと上物に
ヒンディー語(恐らく)のラップは衝撃的なカッコよさ。
MVもインドの下町が舞台となっていて、そこに暮らす様々な人が登場します。
まさに「Gully」、路地裏のラップです。
続いて主人公、ムラドのモデル、Naezy。

Devineの曲、Mere Gully Meinにフィーチャーされています。
Yeh mera Bombayと同じ様にDevineと共にスラムを舞台に暴れまわるMVです。
そして、Naezyがブレイクしたのは2014年のこの曲でした。

彼はこの曲を、iPadだけで作り上げました。
iPadでビートをダウンロードし、そこにラップを乗せ、さらに近所でこのMVを撮影。
You Tubeで「凄いラッパーがいる」とたちまち話題になったそうです。
Devine、Naezy、Nasがコラボした曲もありました。
「ガリーボーイ」の為に作成したようです。

そして、こちらは「ガリーボーイ」のサントラにも収められている曲、India 91。
91というのはインドの国番号だそうです。
インドラッパーオールスター的な曲でワクワクします。
(ほぼ誰かはわからないのですが…)

「ガリーボーイ」周辺をネットで探すだけでも
これだけかっこいい曲が見つかるインドのヒップホップ。
映画のヒットと共に世界的ブームが巻き起こる可能性もあるのではないでしょうか?
他にも気になるアーティストが山盛りでしたので、
機会があればまたインドのヒップホップアーティストを紹介できればと思います。

ちなみにインドのラッパーというとバングラビートの伝道師、
Jay-Zをフィーチャリングゲストに迎えた「Beware of the Boys」がヒットした
Panjabi MCを思い浮かべる方は30代以上ではないでしょうか(笑)
こちらはJay-Zが参加していないオリジナルVer、「Mundian To Bach Ke」。

 

(江渕)

【Shop in TEMMA】中華料理「新京」

Stepのメルマガは、奇数月は東京、偶数月は大阪のかわりばんこで配信させていただいてます。
また、各コーナーの担当は恒例のあみだくじで決定(大阪のみ)するのですが最近やたらとShopInTEMMAのくじを引いちゃいます。
毎日お弁当持参のボクはこの記事の担当になるたび会社の近くの新しいお店を探してランチに行きます。
しかし今回はひょんな事から出前を取ることに。という訳で今回は出前したお店を紹介させていただきます。

美味しい中華をスピーディーにお届け
中華料理の「新京」さん。

昔(会社が出来た頃?)は、よく利用していたお店のようで最近新しいメニューが届けられました。

今日は、新京定食/1,250円7名分を注文。
お昼時なのでかなり待たされることを覚悟してましが20分ぐらいで到着。

まずは、そのボリュームにびっくり!?

※分かりづらくてすみません。2段重ねになってます。

上段は、おかず専用
下段は、ご飯&おかず
内容は、
上段:酢豚、八宝菜、ポテトサラダ、キムチ(中華だけど)
下段:唐揚げ(千切りキャベツ添え)、シュウマイ、卵焼き、そしてご飯(お新香付)

お味も申し分なし!!どれも美味しかったです。


食べる前は、「こんなにたくさん絶対に食べられない~~」とか言うてましたが、美味しかったし届いてすぐ温かいままいただけたのでペロっと完食しちゃいました。

スタジオ作業で出前を取る際は、是非ご利用下さい。
中華以外にもいろいろな出前リストをご用意してますので詳しくは担当者まで。


ご注文はこちらから
中華料理「新京」
06-6356-6331
■年中無休(但し例外あり)
■営業時間 午前11時~翌朝5時
      出前受付は翌朝4時30分まで

(伊藤)

【I LOVE NY】月刊紐育音楽通信 December 2019

(本記事は弊社のニューヨーク支社のSam Kawaより本場の情報をお届けしています)

 Sam Kawa(サム・カワ) 1980年代より自分自身の音楽活動と共に、音楽教則ソフトの企画・制作、音楽アーティストのマネージメント、音楽&映像プロダクションの企画・制作並びにコーディネーション、音楽分野の連載コラムやインタビュー記事の執筆などに携わる。 2008年からはゴスペル教会のチャーチ・ミュージシャン(サックス)/音楽監督も務めると共に、メタル・ベーシストとしても活動中。 最も敬愛する音楽はJ.S.バッハ。ヴィーガンであり動物愛護運動活動家でもある   



 アメリカはホリデイ・シーズンを迎え、各地でコンサートや音楽イベントが盛大に繰り広げられていますが、この時期ニューヨークを代表する音楽系のショー/イベントとしては、やはりラジオ・シティ・ミュージック・ホールの「クリスマス・スペクタキュラー」(特に女性ダンサー「ロケッツ」によるラインダンス)とロックフェラー・センターの巨大クリスマス・ツリーの点灯式というのが観光客向けの2大イベントと言えるでしょう。

 ですが正直言いますと、私の周りのニューヨーカー達(アメリカ人)で、これらのイベントを観に行ったという人はほとんど皆無です(笑)。強いて言えば、子供の頃に連れて行ってもらった記憶がある、という程度で、特に音楽業界の人間で上記のショー/イベントに出向くというのは仕事目的のみと言っても過言ではありません。

 特にロックフェラー・センターのクリスマス・ツリー点灯式は零下の夜の野外イベントですから、集まるのはやはり観光客ばかりということになってきます。また、このイベントは出演者側にとっても厳しいパフォーマンス環境となるのは当然で、今年出演のジョン・レジェンドを始め、生のスタジオ・ライヴを巨大スクリーンに映し出すという方法を取るパターンが増えてきているようです。

 実は笑い話としてアーティスト/ミュージシャン内では話されることもあるのですが、アーティスト/ミュージシャンにとってアメリカにおける2大“拷問”音楽イベントと言えるのは、このロックフェラー・センターのクリスマス・ツリー点灯式でのパフォーマンスと、4年に一回、1月にワシントンDCのUSキャピトル(連邦議会議事堂)の前(野外)で行われる大統領就任式典におけるパフォーマンスであるという話があります。これは本当にその通りであると思いますし、極寒の中でのパフォーマンスというのは、パフォーマーにとっても、楽器(声も含め)にとっても実に過酷なものと言わざるを得ません。

 2009年、オバマ前大統領の1期目就任式典に出演したヨーヨー・マやイツァーク・パールマン達や、2013年の2期目の就任式典に出演したビヨンセが、リップシンクによるパフォーマンスを披露して、随分とメディアに叩かれましたが、パフォーマンスを行う側から言えば、彼等が取った方法はベストとは言えなくても、責めることはできません(その一方で、1期目就任式典において“生”で熱唱したアレサ・フランクリンには頭が下がる思いです)。

 そんなわけで聴き手の側でも、これらのイベントにおけるパフォーマンスは余程の理由(パフォーマーの支持者・大ファンなど)が無い限り、地元の人間にとってはテレビ観戦するのが一番と言われるのも頷けますが、そうは言ってもパフォーマンスはやはり“生”に接するのが一番であることは間違いありません。私自身、今年のホリデイ・シーズンも可能な限り足を運んで、“生”のパフォーマンスを楽しむようにしていますが、先日のサンクスギヴィング(感謝祭)の連休では、ヘヴィ・メタルのクラブでクラウド・サーフィンやモッシングも楽しんできました。ですが、大汗をかいてクラブを出た時の寒さはさすがに身に堪えました。冬のライヴはパフォーマンスだけでなく、パフォーマンスの後も考えなければいけないと、いい歳をして思い知らされた次第でした。

 

トピック:チケット販売の大変革(取り締まり)は実現するか

 アメリカにおける興行ビジネス、特にチケット販売ビジネスの問題については、これまで何度かご紹介してきました。これまで不法・違法とされてきたチケット転売というものが、ある一定の範囲内ではあっても適法・正当なものとなり、金さえ出せば買えないチケットはない、逆に言えば、転売業者による独占で正規チケットが中々手に入らない、という事態を招いていることは、今や誰もが認める状況であると言えます。

 そうした中で先日、アメリカの下院議会の一組織であるエネルギー・商業委員会が、Live Nation、AEG、StubHub、Vivid Seats、TicketNetwork、Tickets.comといったアメリカのコンサート・ライブ/イベント発券業界に対して新たな調査開始を通告しました。その理由は、同委員会が“現状における一次及び二次チケット市場で発生する可能性のある不公正な行為について懸念している”というもので、同委員会はそうしたチケット市場を牛耳っているとも言える上記の企業に対して、懸念事項に関する文書や情報・資料の提出、そして説明会などを要求することになったというわけです。

 今回の動きの目的はもちろん、イベント・チケット販売市場において消費者を保護するためのものですが、その伏線として、コンピュータ・ソフトウェアを使用してチケットを購入することを禁止した「オンライン・チケット販売改善法」というものがあります。これは原語(英語)では「Better On-line Ticket Sales Act of 2016」というもので、通称「ボッツ・アクト(BOTS Act)」と呼ばれており、約3年前の2016年12月に当時のオバマ大統領によって調印されて発動されました。これは、簡単に言うと「チケット・ボット(BOT)」と呼ばれるテクノロジーを使って、個人や組織がチケットをまとめて購入・転売することを阻止・禁止するための法案で、正規チケット発券・販売サイトのためのセキュリティ対策とも言えました。

 具体的に言いますと、チケット・ボットとは、Ticketmasterなどのチケット・ベンダーが販売する正規チケットを自動検索・購入できるソフトウェア・プログラムです。チケット・ブローカーと呼ばれる転売(業)者&組織は、このチケット・ボットを利用すると、自動的に且つ瞬時にチケット検索と購入が可能になり、同時に数百や数千もの取引(購入)が実行できるわけです。つまり、人間が手動で行う何百・何千倍も早く、超高速で瞬時に膨大な数のチケットを一括検索・購入でき、しかも通常はパスワードなどのセキュリティ機能があるものをもスルーできてしまうという、中々優れものでありながらも恐ろしいソフトなわけです。

 但し、問題はこのチケット・ボットを使って転売を行う個人や組織のみというわけでなく、そこにはチケット・ボットを利用した転売行為が生まれてきた背景というものもあります。

 上記の「ボッツ・アクト」と呼ばれる法案が通過する少し前のことでしたが、ニューヨークの司法長官がチケット販売の現状を調査した際に、市場で販売されるチケットの内、一般の人が購入可能となっているのは全体の46%のチケットのみで、残る54%が内部の者や会員、また特別のクレジット・カードなどをもった優遇者達の手に渡っているという驚くべき結果が発表されました。要するに、一般人が購入できるチケットというのは、全体のチケット販売数の半数にも満たないというわけで、この一般への供給量の半減(以上)という状況が、転売・再販チケットの高額化という結果をもたらしたとも言えるわけです。

 そのため、正規料金の1.5倍などというのは良い方で、2倍、3倍から10倍も高くなる状況が出てきてしまったわけですが、そうした事態の中で、転売・再販業者が、圧倒的な供給量の低さに対する需要の高さにフォーカスし、チケット・ボットというソフトを使って、できるだけ多くのチケットを即座に購入するという事態が生まれたと言われています。

 購買者から見れば、チケット・ボットを使った転売・再販チケットは、それまでのいわゆる“ダフ屋”による超高額な転売・再販チケットよりは圧倒的に安いわけですから歓迎すべきものとも言えるのですが、やはりこれは不正・不法行為であることには変わりなく、正規のチケット販売業者にとっては大きな打撃となったとされています。

 一例を挙げますと、現在もブロードウェイで一番人気の「ハミルトン」というミュージカルがあります。これは、アメリカ建国の父の一人であるアレクサンダー・ハミルトンの生涯をヒップホップの音楽で綴ったミュージカル作品で、ハミルトンを含めた歴史上の白人達を有色人種が演じるという、異色・斬新とも言える解釈と演出を施した、ブロードウェイのミュージカル史上に輝く最高傑作の一つとも言われています。興業成績もダントツに素晴らしく、批評家達の評価も絶大で、2016年にはトニー賞史上最多のノミネート記録を達成して、結局11部門も受賞した他、グラミー賞でもミュージカル・シアター・アルバム賞を受賞しました。

 そんな評価・評判もあって、このミュージカルはとにかくチケットが取れないことで有名で、しばらくの間、通常$200前後のチケットが$1000も$2000もするという、異常な事態となっていました。

 そうした中で、プレステージ社というイベント・コーディネーション会社が、アメリカ最大のチケット業者と言えるTicketmasterが販売するハミルトンのチケットの約40%をチケット・ボットを使用して買い占めて転売・再販したということで、Ticketmasterがプレステージ社に対して訴訟を起こしました。

 つまりこれは、「ボッツ・アクト」で定められたオンライン・チケット販売法に違反した行為とみなされ、そうした違反行為を受けた者は訴訟を行う権利が「ボッツ・アクト」によって国(合州国連邦)レベルで認められ、例えば違法行為を受けたチケット業者が複数となる場合は、州がチケット業者に変わって集団訴訟を起こす権利も与えられるようになったわけです。

 

 少々話がややこしくなってきましたが、要は現在、チケット・ボットというソフトウェア/テクノロジーを利用した転売・再販チケットというものが大きな問題となって、チケット・ブローカー(転売(業)者&組織)達がやり玉に挙がっているわけですが、その元凶は、正規チケット業者による富裕層や手堅い高収入を狙った特待・優遇措置が現在の問題を引き起こしているとも言えるわけです。

 よって、チケット転売・再販側だけを取り締まればそれで良いのか、という問題が大きく横たわっています。法によって守られてチケットの料と量をコントロールできる正規チケット業者と、違法ではあるが明らかに安価なチケットを購入可能にしている転売・再販チケット業者。どちらを取るかと言われれば、チケット購入者側の心情としては安い方になると思いますが、業界の統制やマーケットの維持、そして利潤の集中(または拡散の防止)を目指す側からすれば、チケット転売・再販というビジネスは、足元をすくわれる危険な存在と言えるわけです。

 実は「ボッツ・アクト」の推進・施行についてはGoogleも深く関わっていると言われています。また先日、オークション・サイトのeBayが、同社のチケット販売部門であるオンライン再販チケット・サイトStubHubを同業ライバル会社とも言えるViagogoに売却するというニュースも、エネルギー・商業委員会による調査開始通告の直後というタイミングでもあったため、中々興味深い(疑惑を呼ぶ?)動きであると言えます。

 昔から国を問わず、アルコール販売と興行というのはマフィアの領域とされてきましたし、今もその構図は表には見えないレベルで残っていると言えます(ニューヨークでは更にタクシー業界というのがマフィアの領域でした。これについては何故ニューヨークではUber(ウーバー)が他州よりも高額なのかという理由・背景の一つにもなっています)。

 現在の再販・転売チケット・システムが出来上がる以前は、私自身もよくイタリアン・マフィアが運営するブローカーからチケットを購入したりしていました。しかし、80年代以降チャイニーズ・マフィアの勢力に押され、更に現在トランプの顧問弁護士として逮捕・監獄行きも噂されるジュリアーニ元ニューヨーク市長が市長時代の90年代末にマフィアを事実上表舞台から一掃したことで、イタリアン・マフィアはビジネス的にも地理的にも益々ニューヨークの外に追いやられていったと言われます。

 しかし、マフィアというのはそもそも裏舞台から表舞台を操作する組織・集団ですから、彼らは場所や形態を変えて生き残り続けていますし、興行収益の大部分を担うチケット販売に関しても、様々な形態を取って関わり続けていると言えます。

 今回は、チケットの正規販売と転売・再販に関する少々複雑な話となりましたが、国の対応がどうあれ、企業の戦略がどうあれ、またマフィアの存在がどうあれ、購買者としては少しでも求めやすい料金で入手しやすいチケット購入が実現することが最重要ですので、それを願いながら、今回の行政レベルの介入と業者の対応を注視してみたいと思っています。

 この法案は、セキュリティ対策、アクセス制御システム、またはチケット発行者がイベントチケットの購入制限を実施するため、またはオンラインの整合性を維持するために使用するチケット販売者の別の制御手段を回避しようとしている当事者を罰するために設計されましたチケット購入注文ルール。誰かが上記の意図に違反してチケットを販売したことが判明した場合、その人は訴追することができます。

 この法律は、連邦取引委員会がBOTS行為の違反が発生したと信じる理由がある場合に行動する権限を与えます。州はまた、複数のチケット所有者に代わって集団訴訟を起こす権利を有します。

 

 BOTS法は米国の法律に署名された立法行為でしたが、オンラインチケット再販市場がチケットの調達を報告する方法にさまざまな変更を加えました。

 主な変更点は次のとおりです。

 Googleは、有料広告プラットフォームを使用するセカンダリチケット再販業者に、プライマリチケット販売者ではないことを開示することを要求しています。 StubHub、Viagogo、Seatwaveなどは、2018年2月現在、これに準拠していました。

【After Word】2019年

今年もあと僅かで終わろうとしています。

皆様は、一年を振り返って印象に残った出来事はどんなことでしたか?

2019年は何と言っても 平成から令和へ時代をまたぐ、という特別な瞬間がありました。
関西では「平成」最後の「昭和の日」に JR「大正駅」で「明治」の「R-1」を飲むチャレンジャーが
続出しましたね。

私は、スポーツ界での明るい話題が特に印象に残りました。

テニス界では、大坂なおみ 全豪オープン制覇!!
「ナオミ節」でファンを楽しませて下さいました。

ラグビーのワールドカップ日本大会では、初のベスト8進出を果たし、日本中が盛り上がりましたね!

そしてゴルフ界では、渋野日向子が全英女子オープン優勝!!という快挙を成し遂げ、
アマチュアゴルファーはしばらくの間 渋野選手一色に染まりました。

令和二年のオリンピックイヤーに向けて、皆様も勇気づけられたのではないでしょうか。


今月もメルマガをご覧いただきありがとうございました!

次回は年明け1月上旬の予定です。

お問い合わせ、配信停止希望はこちら≫≫≫


(ハルキ)

【I LOVE NY】月刊紐育音楽通信 November 2019

(本記事は弊社のニューヨーク支社のSam Kawaより本場の情報をお届けしています)

 Sam Kawa(サム・カワ) 1980年代より自分自身の音楽活動と共に、音楽教則ソフトの企画・制作、音楽アーティストのマネージメント、音楽&映像プロダクションの企画・制作並びにコーディネーション、音楽分野の連載コラムやインタビュー記事の執筆などに携わる。 2008年からはゴスペル教会のチャーチ・ミュージシャン(サックス)/音楽監督も務めると共に、メタル・ベーシストとしても活動中。 最も敬愛する音楽はJ.S.バッハ。ヴィーガンであり動物愛護運動活動家でもある。

 

 

 

最近私は非常に悩んでいます。Amazonのサービスを利用し続けるべきか、やめるべきか…。いやこれはくだらない話のようで実はくだらない話ではないのです。つまりこれは、最近アメリカで大きな問題として取り上げられているプラスチック製品や容器の使用のように、単に使用をやめたり分別ごみを徹底させるというような話ではなく、自分の音楽ライフのみならず、ライフそのものに関わってくる問題もであるからです。

 私自身は現在、Amazonプライムの会員であることでAmazon Musicの特典(プライムに指定されているAmazon Music音源の無料ダウンロード/ストリーミング)やプライム商品の送料無料というサービスの“恩恵”を受けています。また、音楽関連のみならず、いわゆる生活必需品の類に至るまで、Amazonのオンライン・ショッピングというのは本当に便利なサービスであることは間違いありませんが、実はAmazonの触手はオンライン上の販売やサービスという世界とは別の分野にまで伸び、様々な面から人々の生活に大きな影響を及ぼしています。

 先月のニュース・レーターでも少し触れましたが、Amazonというのは今や流通業界を制しているだけでなく、データ・ビジネスの世界をも制しているわけですが、更に国や行政、軍ともつながることで、政治や一般社会のレベルにまでその影響力を広げてきているのは、まだ気づいていない人も多い重要な事実であると言えます。

 現時点において、この問題のコアな部分というのは、AmazonがICE(移民税関捜査局)に対して自社の顔認識テクノロジー(ソフトウェア)を提供しているという点です。つまり、現在のアメリカを二分する要因の一つにもなっている不法移民の摘発と強制退去に関してAmazonは“多大な貢献”を果たしているというわけで、サンフランシスコ市議会では市当局による顔認証監視技術の利用を禁止する条例案が可決しましたし、先日は400人近いミュージシャン達による抗議行動も行われました。

 Amazonはそれ以前から、プライバシーの問題に関する疑惑がありました。それはスマート・スピーカーとも呼ばれるAmazonのAI搭載スピーカーEcho(エコー)のユーザー達に起きたトラブルという形で話題沸騰したわけですが、このAI部分であるAlexa(アレクサ)が、プライバシーの侵害というよりも、結果的に個人情報の監視と盗用に一役買うという恐ろしい事態を招いたわけです。当のAmazonは中国内からのハッキング行為を理由にこの事件について弁明しましたが、何でも気軽に話せる“お相手”と思っていたAlexaの“ご乱心”(Hal 9000を思わせる異常な誤動作)に多くのユーザーは青ざめ、実はAmazon自体がAlexaを通して個人情報を監視・盗用しているのではないか、という疑惑も出てきたわけです。

 もう一つは、ニューヨークのロング・アイランド・シティに建設予定であったAmazonの第二本社に関する騒動です。ここは実は私が住んでいるエリアなのですが、もしもAmazonの第二本社ができると、地価が急上昇して多くの地元民が追い出される結果となりますし、Amazon移転による公共交通機関の大混雑と整備の必要性(つまり莫大な金がかかる)、そしてニューヨーク市や州による地元市民のための再開発費予算がAmazonへの助成金や税優遇措置によって大幅に削られる結果にもなります。そのため、この移転計画は地元の猛反発を食らって結果的には撤退となりましたが、Amazonは地元行政を抱き込んで引き続き移転の実現を画策していると言われています。

「今、中国よりも危険なのはAmazon」こんな意見も巷ではあちらこちらで聞かれます。

さて、皆さんはAmazonとどう付き合われますか?

 

 

トピック:ドリー・パートンはアメリカを癒せるか?

 

 アメリカは11月の第一月曜日の翌日火曜日が「エレクション・デー」、つまり選挙日です。よって、10月は選挙と政界絡みの話題が一層賑やかになりましたが、先日は故プリンスの地元ミネアポリスにおけるトランプの再選キャンペーン中に「パープル・レイン」が使用されたことにプリンスの財団が強く抗議したというニュースがありました。

 プリンスは2006年大統領選の6か月少しほど前に亡くなりましたが、選挙戦から大統領就任後もプリンスの財団はトランプに対してプリンスの一切の楽曲の使用不許可を通告し、昨年はプリンスの弁護団がトランプに対して公式・法的な手紙も出していました。ですが、法規などまるで気にしない(つまり無法者)トランプですから、性懲りもなくプリンスの曲を使っていたようです。

 

 2016年の大統領選時の本ニュー・レターでもお伝えしましたが、トランプはアメリカ史上で最も有名ミュージシャン達に嫌われている大統領と言え、逆に彼を支持する有名ミュージシャンというのは数える程しかいません。

 どこを向いてもアンチ・トランプだらけの有名ミュージシャン達の中でも特に目立っているのは、ニール・ヤング、リアナ、ジョン・レジェンド(とパートナーのクリッシー・テイガン)、エルトン・ジョン、ファレル・ウィリアムス、テイラー・スウィフト、セリーナ・ゴメス、スヌープ・ドッグ、エミネム、ブルース・スプリングスティーンなどといったところではないでしょうか。

 中でもジョン・レジェンドとクリッシー・テイガンに関してはトランプ自身も目の敵にしており、ことあるごとにツイッターで非難を浴びせていますが、不思議なことにトランプが毛嫌いしているジェイZとビヨンセは、トランプを非難しつつもあまり相手にはしていないようで、まだこれといった“直接対決”は実現していません。

 

 トランプにとっては”A級戦犯”とも言える上記有名ミュージシャン達に続いて、“B級戦犯”的存在とも言えるのがポール・マッカートニー、ジョージ・ハリソン財団、ローリング・ストーンズ、ポール・ロジャース(フリー)、クイーン、(特にブライアン・メイ)、エアロスミス(特にスティーヴン・タイラー)、ガンズ&ローゼズ(特にアクセル)、R.E.M.(特にマイケル・スタイプ)、アデル、シャナイア・トゥウェイン、ルチアーノ・パヴァロッティなどと言ったところで、彼等は楽曲不使用を中心にトランプに対するノーを公表し続けています。

 

 そうした中で先日、「ドリー・パートンはアメリカを癒せるか」という面白い記事を見つけました。カントリー音楽のみならず、アメリカ音楽界を代表するアイコン的な元祖ディーヴァ&女王の一人であり、アメリカの国民的大スターとして、日本で言えば美空ひばり級の人気・地位・評価を誇るドリーですが、彼女こそが、南北戦争以来と言われるほどに分断され、反目・憎悪と攻撃的な姿勢・論争に満ち溢れた今のアメリカを、その音楽と人間性または存在感によって癒すことができるのではないかという内容でした。

 

 そもそもこの記事の発端となったのは、ニューヨークのローカルFM局であるWNYCのポッドキャスト(インターネット・ラジオ)・プログラムとして去る10月15日から12月8日まで週一でスタートしたトーク番組で、10月末の時点で既に3つのエピソードが配信されています。プロデューサー兼ホストのジャド・アブムラドはレバノン移民のアメリカ人ですが、ドリー・パートンと同じくテネシー州の出身で、アメリカの社会・世相を反映した切り口の鋭いラジオ番組をプロデュース(そしてホスト)することで知られています。

 今回のドリー・パートンの番組でも、彼自身によるドリーへのインタビューを軸に、ゲストも交えながら自らコメント・分析し、話の前後で、過去のドリーのインタビューやレコード、コンサート、テレビ番組などの音源も実に手際よくカットアップしてつなぎ合わせ、1時間近いプログラムを全く飽きさせずに仕上げています。

 

 番組の作りも実に印象的で興味深いと言えますし、ドリー・パートンの功績よりも、その実像をアメリカの社会や動きと対比させながらくっきりと浮かび上がらせる手法は見事と言えますが、やはり最も印象的なのは、ドリー・パートンという稀有なミュージシャンその人であると言えます。

 ドリーはジョークのセンスにも非常に長けた人で、相手のジョークや突っ込みを一層のジョークで笑い飛ばすことでも知られています。とにかく明るく陽気で優しいお姉さん(かなり過去)⇒おばさん(少し過去)⇒お婆さん(現在)というイメージで、これまでも特定の個人やグループを傷つけることも怒らせることもなく(狂った性差別主義者から脅迫されたことなどはありましたが)、50年以上その強烈なキャラを維持し、愛されてきたことは驚くべきことです。

 

 また、彼女はファン層の広さにおいてもダントツで、そのグラマラスな容姿やキャラからLGBTQコミュニティでも非常に高い支持を集めている一方で、ゴリゴリの保守派・原理派クリスチャンのおばさん達にも愛され、フェミニストのキツいお姉さんたちからも一目置かれている一方で、トラック野郎や炭鉱労働者などのマッチョな男達からも愛されるという点は、マリリン・モンローとレディ・ガガが合体?したような振れの大きさとでも言うのか、他に類を見ないユニークな存在と言えます。

 しかも、ドリーの面白さは、そうした幅広い層の全てに対して愛情を持ちつつも、特定のグループとは同調・共闘はしない(逆の言い方をするならば、相手を攻撃しない)という、全てに関してある一定の距離を置いているとも言える点で、そこには本来アメリカの美徳でもあった個人(尊重)主義が貫かれているという見方もできます。

 

 シンガー/パフォーマーとしてのインパクトが強い彼女ですが、実は彼女自身はシンガーである前に作曲家として活躍・成功したシンガー・ソングライターです。

 これは私自身、今回のラジオ番組で再認識したことですが、彼女の初期の曲というのは、彼女自身が「Sad Ass Songs」(「悲しい歌」に「Ass=ケツ(尻)」という言葉を挟むことで汚っぽく強調しているスラング。彼女はちょっと汚いスラングをよく使うのですが、それも逆に親しまれている点でもあります)と呼んでいるように、ひどい話の悲しい歌というのが数多くあります。

 それは、女性ならではの心の痛み、古い女性観から来る女性の行動(主に性行動)に対する偏見・非難、女性(妻)に対する家庭内暴力、男(夫)に騙されること・男(夫)を騙すことによる苦痛、を告白・代弁するといったかなり生々しい内容です。そうした中の頂点の一つとして、未婚の若い女性が妊娠したことで相手の彼氏や自分の家族にも見放され、最後は孤独な状況の中で陣痛が起きて死産を迎えるという、あまりにも悲惨な曲もあります(これはラジオ番組中、ドリー自身が最もお気に入りの曲と語っていました)。

 この曲はその後、ナンシー・シナトラやマリアンヌ・フェイスフルなどにも歌われましたが、発表された1970年当時はラジオで放送禁止にもなりました。しかし、こんな悲惨で物議を醸す歌を歌っても、そのイメージが崩れることなく、明るいキャラを維持しているというのは本当に驚きでもありますし、それは恐らく彼女の深い人間性に根差しているようにも思えます。

 

 今回の記事、そして上記の話を含めたドリーのラジオ番組を聴いていて感じたのは、彼女のシンパシーや社会意識というのは、最近話題となっているような様々な問題よりももっと世の中の根底・底辺にあるという点です。

 アメリカでは多くの人達が知る有名な話ですが、ドリーはテネシーの片田舎で12人兄弟の4番目として生まれ育ち、幼少の頃は一部屋しかない“掘っ立て小屋”で暮らす極貧生活であったそうです(その家の写真が昔、彼女のアルバムのカバーに使われたこともありました)。

 厳しい冬を前にお母さんが端切れを縫い合わせてコートを作ってくれて、学校ではみんなに馬鹿にされても、彼女自身はそのコートを誇りに思う、という涙ものの話も有名ですが(これは彼女の代表曲の一つにもなっています)、そうした極貧時代の辛かった経験が、逆に彼女の優しさと芯の強さの基盤となっているようです。

 ドリーの慈善活動に関しては彼女自身が設立したドリーウッド基金による取り組みがよく知られていますが、彼女自身の経験がバックグラウンドとなっていることもあり、その対象は識字率の向上であったり、景気の落ち込んだ地域の雇用促進であったり、常に忘れられ、切り捨てられそうになっている社会の底辺に生きる人々に向けられています。

 彼女は保守か革新かと問われれば、間違いなく保守に属する人であると言えます。ですが、彼女の保守というのは世に言うところの政治的スタンスとしての保守ではなく、アメリカの良心、というよりも人間としての良心を保ち守る、という意味での保守と言えます。

 自分がかつて徹底的に弱者であったことから弱者を絶対に見捨てないという強い信念と行動(音楽においても、慈善活動においても)が彼女の“保守”であり、この極端なまでのピラミッド社会(つまり底辺の数が圧倒的に多い)であるアメリカにおいて、彼女の活動は保守も革新も、右も左も、誰もが支持する結果となっていることも特筆すべきことでしょう。

 

 ドリーはカントリー音楽界を代表する白人のアーティストですが、パティ・ラベルや故マイケル・ジャクソンを始めとする数多くの黒人アーティスト達との交友でもよく知られ、故ホイットニー・ヒューストンがドリーの曲をお気に入りのレパートリーにしていたこともよく知られています(映画「ボディ・ガード」で歌われた「I Will Always Love You」)。

 ドリーは私生活においては二十歳の時に結婚(相手は道路舗装業を営んでいた一般人)して以来、今もおしどり夫婦であり続けています。子供はありませんが、マイリー・サイラスの名付け親であるなど、多くの人達から母親的な存在ともされてきましたが、容姿ではなく中からにじみ出る彼女の母性というのは、若いころ幼い妹や弟たちの母親代わりを務めてきたことから来ているとも言われます。

 

 私自身も70年代からドリーのファンでしたが、この人の圧倒的なカリスマ的存在感と、それでいて温かで優しい包容力溢れる隣のお姉さん(当時)的な親しみやすさというのは、膨大な数のスター達の中でも全くもって唯一無二のものであり、極めてユニークであるとも言えます。

 また、彼女はアメリカのスター達の中では珍しく完全なノンポリであり、政治的な発言は決してしない人でもあるので、その意味でも益々左右両極化が進み、中道でさえも引き裂かれつつある今の荒れ果てたアメリカを、音楽によって癒すことのできる”切り札”となるかもしれない、という今回のラジオ番組や記事における意見は中々面白いと感じました。

 もしかするとドリー・パートンが2020年の大統領に?いや、そんなことはあり得ないと思いますが(笑)、トランプが大統領ということ自体があり得ないことでもあるので、今のアメリカであり得ないことは何もない、と言えるのかもしれません。

 なにしろ映画俳優が大統領(ロナルド・レーガン)になる国ですから、そろそろミュージシャンが大統領になってもおかしくはないかもしれませんね(ジェイZやカニエ・ウェストはその座を狙っているとも言われていますが…)。

 

【STEP INFO】今年の11月は…

このたびの台風で被害に遭われた方々に、謹んでお見舞い申し上げます。

皆様が一日も早く平常の生活に戻ることができますよう心よりお祈り申し上げます。

 

10月は台風の影響もあり、降雨量が多く感じたのでちょっと調べてみた所、先月は過去140年間の中でも記録的な雨量だそうです。

 

本来は、1年間で大体1500ミリ程度と言われているのですが、10月は1ヶ月だけで500ミリ以上もの雨が降っています。

1年間の3分の1が降った計算ですね。恐ろしいです。

 

10月末に気象庁から発表された情報によると、11月も雨は多くなる見込みだそうです。

ですが気温的には暖かくなる可能性が高く、11月らしくない気候となるようです。

 

雨が多いのは嫌ですが、僕は暖かいのは嬉しいです。

でも夏が短かったり、冬が中々来なかったり、記録的な台風が襲ってきたり…来年は平穏な天候になる事を願うばかりです。

 

ちょっと不安な書き出しになってしまいましたが、今月もメルマガスタートです!

 

(鈴木)